電力部門専門のコンサルタント会社PSRが3日、今年1~7月の電力供給は2417メガワット(MG)で、国家電力庁(Aneel)の見通し(3820MG)を36%下回ったと発表したと4日付エスタード紙が報じた。
電力供給が電力庁の見通しを下回った最大要因は発電所の稼動や送電線の設置の遅れだ。4日付フォーリャ紙掲載の発電所の稼動の遅れに関する国庫庁(TCU)の統計によれば、水力発電所は79%で稼動の遅れが出ており、遅れは平均9カ月。風力発電所は88%に平均10カ月の遅れが出、小規模水力発電センターも62%が平均4カ月遅れている。送電線設置は83%が平均14カ月遅れている。
発電所の建設や送電線の設置期限は入札規定に明記されており、工事が早めに終った時は落札した企業(群)の収入が増すが、遅れた場合は企業に罰金が科せられ、消費者の負担も増す。
建設が遅れ、タービンが全然稼動していない水力発電所は、パラー州のベロ・モンテ、マット・グロッソ/パラー州のテレス・ピレス、サンタカタリーナのサンロッケ、パラナ州のバイショ・イグアスなどだ。
ロライマ州マデイラ川のサントアントニオ水力発電所の場合は建設が遅れ、50のタービン中31のタービンしか使用出来ていない。しかも、発電所の管理運営会社サントアントニオ・エネルジアから建設や資材調達を担当する企業群への支払いが遅れ、建設担当者側が作業を中断して作業員を解雇し始めるという問題も発生。サントアントニオ・エネルジアは、電力供給契約不履行で3日に10億レアルの罰金も言い渡されている。
国庫庁によれば、2009年~13年に、発電所の建設や送電線の設置の遅れが原因で発電や電力供給が出来なくなって生じた損失は83億レアルに上る。
南東部や中西部などの干ばつも電力供給不足に拍車をかけた。ダム貯水量が減れば火力発電所を操業させるというのはブラジルの常套手段で、この場合の電力料金は水力発電依存時より高くなる。
8月31日付フォーリャ紙によれば、サンパウロ州カンタレイラ水系のピラシカバ川水域では、1970~2010年は1935~70年の平均降水量以上の雨が降ったが、2010年からは35~40年の周期で降水量が減る時期に入ったという。降水量が周期的に変わる傾向はヨセフ効果と呼ばれ、ミナス州~北東部を流れるサンフランシスコ川などでも同様の現象が起きているとの研究結果もあり、水不足は当分続く可能性がある。