サンパウロ市南部ヴィラ・ダ・パス地区の共同住宅で建設会社による詐欺が発覚し、購入したアパートが一向に引き渡されないことに業を煮やした人々が8月28日から建物に強行侵入して部屋に住み始めたと4日付アゴラ紙、G1サイトが報じた。
共同住宅は2棟あり、1戸あたり評価額15万レ、48戸からなる第1棟は1997年に建設が始まり、4年前にほぼ完成した。購入者の大半は料金を既に支払い終えている。
購入者らによれば、建設を担うコンストルアル社は引渡しの遅れを「(販売を担う)住宅協同組合の問題」と説明していたという。78カ月後に引き渡されるとの約束だったが、購入者らは「10年待っているが、一向に鍵をもらえなかった」と話している。
裁判所から権利が与えられ、今年4月になって集会が開かれたが、その時に初めて騙されていることを知ったという。
「私達が購入済みのアパートを二重販売し、新たに代金を払った人々を入居させようとしている。だから強行突入した」。アパート購入者の一人で現在は同組合の代表も務めるジョナス・レイス氏(45)は語る。
被害者団体の弁護士、マルコス・ナシメント氏は「建設会社はこの組合のほかに、架空の組合を六つ作って転売させていた。被害者らは組合に入金されていると信じて10年間も代金を払い続けてきたが、建設会社は同じ物件を別人に販売していた」と言う。
建物内にはまだエレベーターがなく、水はバケツで運び込んで生活している状態だ。購入者の一人の50歳女性は他の購入者と同様、マットを床に敷いて寝ている。
「絶対に手放さないわよ。生活を切り詰めて、息子達の靴に穴があいてるのも我慢させて代金を工面したんだから」と話している。