4日から、ブラジル全国で映画「聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY」(ブラジルでの名は「カヴァレイロス・ド・ゾディアコ(〃星座の騎士〃の意」の公開がはじまっているが、既に熱狂的な歓迎をブラジルのファンから受けている。この映画は、日本では14年6月に公開された。
宮崎駿や是枝裕和といった世界的知名度のある日本の映画監督の作品はブラジルでも公開されるが、それよりも人気TVアニメの映画化作品の方が公開はされやすく、2012年には「るろうに剣心」が「SAMURAI X」のタイトルで公開されたりしている。
だが、映画公開と同時に記念イベントまで行なわれるほどの作品は、日本の人気アニメでもそう多くは存在しない。その意味で、「聖闘士星矢」はブラジル人には特別な存在だ。
この映画の公開前日の3日夜、サンパウロ一の繁華街パウリスタ大通りにあるショッピングセンター「セントロ3(トレス)」の映画館では先行上映会が行なわれたが、映画館の前には開場前から長蛇の列ができ、コスプレをした客で賑わった。開場を待ちきれない客は、日本のTVアニメ版と同じ主題歌を歌いはじめ、「セインッ、セイヤー」とサビの部分を日本語のまま歌い上げていた。その野太い声の主はほとんどが20~30代の男性だった。
今回、「聖闘士星矢」の人気が盛り上がっているのは、今年がブラジルで同作のTVアニメ放送が開始されて20年の節目の年にあたるからだ。同作品の放送はマンシェッテ局(現在のレッデ局)で1994年、日本での原作漫画の「週刊少年ジャンプ」での連載開始から8年遅れでスタートし、大ヒットを記録している。
この当時、マンシェッテ局は、日本でそれほど大きなヒットになっていなかった特撮ヒーロー番組「巨獣特捜ジャスピオン」「世界忍者戦ジライヤ」を大ヒットさせており、特に前者は日系人の仇名を「ジャスピオン」にするほどの爆発的な成功も収めた。こうした日本ブームにも押されて「聖闘士星矢」は大ヒットし、マンシェッテ局での放送を終えた後もケーブル局のアニメ専門局などで再放送され、その映像が流れ続けていた。
映画版の方も、日本で2004年に公開された前作「聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜」が2006年に公開され、大ヒットした。
3日夜の先行公開では、上演前にはブラジル版TVアニメの主題歌を歌っていたアニソン(アニメソング)歌手のロドリゴ・ロッシが現れて歌を披露した。また、映画版でプロデューサーをつとめる浅間陽介氏が直々に登場し、ファンとの公開インタビューも行なわれた。浅間プロデューサーは「ブラジルの方々の熱烈な反応はとてもうれしい。今回の映画が、「聖闘士星矢」の新たな人気のはじまりになることを願っている」と語った。会場の入り口には、原作者・車田正美氏の直筆による額縁入りのサインとファンへのメッセージ入りのイラストが飾られていた。