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アメーバ経営で危機乗り越え=稲盛哲学「父から子へ」=盛和塾GEF合同例会=「適応させる工夫も必要」

 ブラジル盛和塾(関秀貴代表世話人)のポ語勉強グループGEF(Grupo de Estudo de Filosofia)による年一度の合同例会が6日終日、サンパウロ市のOCESP(サンパウロ州協同組合機構)の講堂で開催され、稲盛哲学の柱の一つ「アメーバ経営」に関する日伯の実践例が報告され、約180人の参加者が理解を深めた。

発表者等の皆さん(手前が関さん)

発表者等の皆さん(手前が関さん)


 冒頭、この週末がブラジル盛和塾の初代代表世話人の谷広海さんの一周忌に当たることから、関代表世話人がその貢献を振り返り、稲盛和夫塾長の挨拶映像が流された。
 関さん(HSコンスルトリア社、グアルーリョス)は当日の最後に、4月に視察した株式会社「浅野」(本社群馬県)における最先端のアメーバ経営について発表した。社員を小集団(アメーバ)に分け、各集団ごとに自立的に考えて採算の最大化を図る経営手法。「浅野」では導入11年が経過、その成果のすごさが「腑に落ちた」との驚きを強調した。
 同社では毎年4月に、工場も含めた全社員約300人をホテルに招き、正装で集まった社員は分厚いファイルを受け取る。それを使って、社長が経営目標とボーナスの約束等を説明し、その通り実践する。関さんは「京セラも浅野も度重なる危機を乗り越えてきた。利益の一割を積み立て、一年分の売り上げに匹敵するような蓄えのある企業は、どんな危機が来ても揺るがない」と訴えた。
 午前中には同経営導入の実例としてMNS社(ピラール・ド・スル)のアマウリ・ヴィエイラさん、Microquimica社(カンピーナス)のジョルジ・ルイス・アルメイダさんが報告し、熱心に質疑応答が行われた。
 午後は稲盛哲学の継承「父から子へ」をテーマに、4社の次世代経営陣からミニ報告があった。最初に谷広海さんがアラゴアス州都マセイオに創業したモーテル5軒や建築業Santek社について息子アキラさん、Minami社(ビリチーバ・ミリン、南忠孝社長)の生産部門総責任者の肱岡道夫さん、Semente・Boi・Gordo社(南麻州カンポ・グランデ、久枝俊夫社長)の久枝俊二さん、Brasnica社(ミナス州ジャナウーバ、創立者・山田勇次)の山田ジュン・エウトン社長が、順番に業績と継承した稲盛哲学について述べた。
 中でも山田ジュンさんは「父から『自分は市政に専念するから会社を任せる』と言われた時、本当にできるのかと悩んだ。父から受けた刺激、学んだことは計り知れない。経営哲学は社長のしゃべり方、態度、社員への接し方に影響する。従業員と共に会社が発展する信頼関係や雰囲気を醸成すること、各部署に自律性を持たせるやり方は大きくなるほど大事」と継承内容を報告した。
 参加したゼラルド・マシエルさん(サンパウロ市、Gesplan会計事務所)は「アメーバ経営を導入してから、社員の参加意識が全く変わった。ただし、日本式経営は一種の〃異文化〃だから社員に文化ショックがある。それをトロピカリザ(ブラジル適応)する必要があり、そのノウハウが重要」との感想を述べた。
 塾生の森田泰司さん(Bianca社、グアルーリョス市)も「浅野のマニュアルも半分が稲盛哲学、残りは独自の内容と聞いた。我々も適応させる工夫を重視した経営哲学を作り、社員に伝えなくては」と興奮冷めやらぬ様子で語った。