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工業界の雇用減少続く=34カ月連続で前年割る=厳しい状況は今後も継続か

 地理統計院(IBGE)が10日、7月の工業界の雇用者総数は6月比0・7%、昨年同月比では3・6%減り、2004年以来、最低となったと発表した。工業界の雇用者数は34カ月連続減少し、今後の見通しも明るくはないと11日付エスタード紙が報じた。
 雇用者の減少率が最も高かったのはサンパウロ州の昨年同月比5・1%で、2001年の統計開始以降、最大となった。IBGEで工業部門を担当するロドリーゴ・ロボ氏によれば、サンパウロ州は13年11月以降、減少率トップを走り続けているという。
 同氏によれば、工業生産は昨年10月から活性を失い、工業界の雇用状況は2008、09年の国際的な金融危機勃発時より悪化。当面は生産活動が減速した状態が続くという。
 一方、オプス・ジェスタン・デ・レクルソス社のジョゼ・マルシオ・カマルゴ氏は「現在の状況は08年末ほど酷くないが、現在は皆が先行き不安を抱えており、信頼感指数も低下、工業生産は容易には回復しそうにない」「雇用者が従業員を解雇したりしているのも当面は業績回復が望めないからだ」という。
 同氏によれば、現在の景気後退(リセッション)は08、09年よりましだが、ブラジル工業界は生産コスト高で国際競争力が低下する一方だという。7月の工業界の就業時間総数は前月比で0・3%、昨年同月比で4・2%減少。所得総額も前月比2・9%、昨年同月比3・4%減だった。
 ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)によれば、8月の失業の同時指標(ICD)は5・8%上昇し、雇用の先行指標(IAEmp)は低下した。ICDが高くなると労働者の悲観度も上昇、IAEmpが低くなると新規採用者数が減るか解雇が行われるという。
 8月の労働市場では全所得層の人が雇用状況の悪化を感じており、ICDの上昇率は13年7月以降で最高だった。15歳以上の経済活動従事者数(経済活動人口・PEA)の減少はしばらく続きそうだ。
 経済状態悪化は、工業界やサービス業の雇用者も実感。工業界では生産額減少は必至と見、現状を変えるための税制改革や効率的な公共投資、インフラの効率化、労働法改定、為替政策や生産活動を行う部門の競争力強化に繋がる金利・融資政策などを求めている。サンパウロ州工業連盟によれば、2008~12年に工業界に投資した人の利益は47%だったが、固定金利の投資ファンドに入れた人は62%の利息を得たという。こうした現状下での投資増加は望み薄だが、投資が減ると生産性や国際的な競争力も落ちて、輸入品との戦いにさらされやすくなる。