サンパウロ市の職員らが、住む家のない家族に低所得証明まで発行し、サンパウロ・ホームレス運動(MSTS)が占拠する市中心部の建物(旧シネ・モロッコス、市が所有)に住む、同運動の指導者がその家族を受け入れるように仕向けていたことが発覚した。10日放送の報道番組「ボンジーア・サンパウロ」が報じた。
少なくとも2家族が、シネ・モロッコスの占拠者らに対し、そこでの生活費を支払う能力が無いことを証明する市の公式文書を見せた。文書には市社会支援開発局(SMADS)女性職員2人の署名があった。
11日付エスタード、フォーリャ両紙によれば職員の一人は10日に即解雇された。もう一人は正規採用のため内部調査を受ける予定だが、解雇される可能性がある。
フェルナンド・ハダジ市長はこの件を「完全に違法。たとえ善意でやったとしても、公務員がこのような行動を取ることは許されない」とした。
同市長によれば、公的機関の支援を求める家族は市が管理する宿泊施設に移送されることになっている。「市は施設の受け入れ人数を26%増やした。ホームレス家族のための収容施設は足りている」と説明した。
MSTSのウラジミール・リベイロ・ブリット代表はこの職員らへの処分を「不当だ」と批判する。「市の責任転嫁だ。(家が無い人を)助けようとしての行為」として、職員らをMSTSに迎える意向も示した。
旧シネ・モロッコスは昨年11月にMSTSの80家族が占拠した。現在は357家族(フ紙は500家族以上と報道)が住んでおり、各家族は諸経費として月80レから200レの分担金を支払っている。解雇された職員らは37家族に証明書を出し、そのうち15家族がシネ・モロッコスに留まっている。
現在、サンパウロ市内には同様に占拠されている場所が7カ所ある。ハダジ市長は選挙時の公約として5万5千の住居を建設すると発表した。現時点では市内で23万軒の家が足りないという。