2、3日に行なわれた中央銀行の通貨政策委員会(Copom)の議事録が11日に発表され、インフレは引き続き高い状況にあり、連邦政府目標の4・5%になるのは2016年になってからとの見解が明らかになった。12日付伯字紙が報じている。
11日に発表された議事録で、中銀はインフレの見通しについて、短期的にはこれまでのような「レジステンシア(インフレ抑制の阻害要因)は見られなくなった」と楽観的な見方を示した。
「レジステンシア」という言葉は13年1月の議事録から使われるようになっており、同年4月から14年4月まで続いた経済基本金利(Selic)引き上げの理由ともなっていた。Selicの引き下げは景気刺激策となり、引き上げはインフレ抑制策となるが、現在のSelicは7月以降据え置かれている。中銀は7月の議事録でも「レジステンシア」という言葉を使い続け、インフレ高騰が引き続いての懸念事項であることを示していた。
中銀は今回、インフレが高止まりしている中でもSelicを現状の11・0%に据え置くことを決めた理由に、インフレに従来のような「レジステンシア」が見られなくなったことを上げている。ここでいう「レジステンシア」消滅は消極的な意味だ。中銀がいうインフレ圧力軽減要因は、国内総生産(GDP)が2四半期連続して下がり実質的な景気後退に陥ったことや、基礎的財政収支の黒字額が落ちていることだ。通常は、景気停滞時には国内消費も減退し、需要と供給の差が小さくなるため、価格上昇が抑えられる。基礎的財政収支の黒字減少も、公的支出の抑制に伴う需要縮小につながりうる。
中銀は固定電話料金が6・3%下がることも予想している。7月には、6月までは0・7%高と予想していたガソリン代の見通しが0・1%安に変わっていた。為替を1ドル=2・25レアル程度に抑えていることも、インフレの先行き楽観視の理由となっている。
だが、インフレは現在も高止まりしたままだ。直近12カ月間の累積IPCA(全国広範囲消費者物価指数)は6・51%で、連邦政府の目標上限である6・50%を超えている。電気代の値上り幅が、全国的な旱魃の影響などもあり、連邦政府が当初予想していた7・5%から16・8%まで跳ね上がっていることなどもインフレ要因のひとつとなっている。
このため中銀は、インフレ率が政府目標の4・5%まで落ちるのは早くても16年の第1四半期と見ている。15年のインフレ見通しに関しては具体的な発言を避けた。
フィブラ銀行のエコノミスト、クリスチアノ・オリヴェイラ氏は、今回の議事録発表を受け、「Selicは15年12月まで11%のままだろう」と語っている。また、みずほ銀行のルシアノ・ロスタグノ氏は、インフレ抑制には厳格な金融政策や経済改革も必要で、これらの操作を誤れば金利は再び上昇すると見ている。