世界保健機関(WHO)が12日、西アフリカで流行中のエボラ出血熱に関し、ブラジルにも協力を要請したが返答がないとし、イニシアチブのなさを批判したと13日付エスタード紙が報じた。
エボラ出血熱の猛威は現在も続き、マーガレット・チャンWHO事務局長は12日、2400人以上が死亡し、感染患者は4784人に到達と発表した。16日には死者2461人、患者4985人と発表された。
チャン事務局長は12日、感染者数は当局の管理能力を超えるペースで増えており、「お金や資材も重要だが、それだけでは感染が止められない。対策法を知る医師や看護師といった人的資源が何よりも必要だ」と強調。ギニアとシエラレオネ、リベリアに世界各国から1600人の医師や看護師の派遣を要請した。
こういった声に応えた国の一つはキューバで、12日にはモラレス保健相がシエラレオネに医師62人と看護師102人を派遣すると発表。医師らの派遣ではこれまでで最大の申し出だ。また、16日には米国が兵士3千人の派遣を発表した。
最も懸念されるのはわずか1週間で400人の感染が確認されたリベリアで、国連は政情不安が続く間は平和軍の駐留を継続する事を決めた。
チャン事務局長は70~80床の治療センターが最低10カ所必要との考えも示し、医療機器などの国際支援を要請。16日には改めて、西アフリカでの感染抑制には10億ドル以上必要との見解も発表された。
12日の会見会場では「ブラジルからの医師の派遣も待っているか」との問いが出たが、同事務局長はブラジルへの要請内容には言及せず、「どんな支援をするかは各国が決める事」との見解を表明した。
同事務局長によれば、感染が最も深刻な3カ国では600人の医師と医療関係者1千人が必要だが、現地には170人の専門家しかいない。リベリア人医師は人口450万人に対し200人のみで、4倍は必要だ。
一方、ジョルバス・バルボーザブラジル保健省感染症予防局長は、「医師や看護師の派遣要請は受けていないが、3カ国向けの医療品キット9セットを送付、5セットを送付準備中」と返答。各キットは500人に3カ月間対応出来る医療品が入っている。また、資材購入資金は約40万ドル(100万レアル)を送金したという。人的支援は準備も整い、WHOの要請待ちで、WHOからは汎米保健機構(Opas)を通じ、ポルトガル語による関係者訓練用の教材をギニアビサウに送るよう要請しているともいう。
ブラジルでは感染者は報告されていないが、アクレ州に入国したセネガル人難民は、拒否される事を恐れ、ハイチ人と偽ったともいう。