終戦70周年にあわせて、来年7月にブラジル本門佛立宗(コレイア教伯教区長)はサンパウロ州タピライ市の「佛立植民地」に法塔を建設し、世界4個目となる「平和の鐘」を設置するという。笠戸丸移民の茨木日水上人の悲願を叶えるべく、2年前に同市の自然保護区76アルケール(東京ドーム50個分)を購入、寺や高齢者福祉施設などを併設した〃聖地〃を建設するとの企画を立ち上げていた。今回は14日に、日本から木村日覚宗務総長はじめ青年教務45人、全伯各地の信者約1千人を迎えて盛大にその地鎮式が行われ、聖地建設への記念すべき第一歩が印された。
サンパウロ市から南西に136キロのタピライ市には多様な動植物が生息する大西洋岸森林が広がる。「佛立植民地」とはここに寺、療養所、修行道場、キャンプ地、高齢者福祉施設などを併設した〃聖地〃を作る構想のこと。設計図は来年7月までに完成予定という。自然保護、世界平和の推進と布教を同時に目指す、同宗門初の大規模な取り組みだ。
来年完成予定の法塔は高さ20メートルで、上部に本尊、中央に仏丸(仏立の文字が書かれた円形のマーク)、下部に平和の鐘が設置される。鐘はタピライ市を通して広島市に要請され、同市平和記念公園にあるのと同じものが富山県で鋳造された。来年3月8日に完工し、7月26日、同宗第25世講有の山内日開上人を迎えて落慶建立式が執り行われる。
聖地の建設資金は寄付金でまかなわれる。今年8月に設立した、聖地運営をになう社会福祉法人「自然環境保護区域聖地」(Santuario Ecologico Area de Preservacao e Conservacao do meio Ambiente、SEAMA、片木エルシオ理事長)が資金調達を行う。
法塔が設置される聖地入り口付近の湖畔で地鎮式が行われた。片木理事長やアラウド・タデスコ市長、10数年ブラジル教区の理事長を務めた菊地義治・援協会長も出席した。
木村宗務総長は「ここで打ち鳴らされた平和の鐘が、タピライ、サンパウロ、ブラジル全土、そして世界中の人の心にこだましていくよう、世界平和が実現するよう願う」と日ポ両語で挨拶を行った。湖畔に集った信者らも、それに対し「ありがとうございます」と声をそろえた。同総長からセルジオ・ウエマツ伯教区理事長に寄付金が贈呈された。
続いて、今式典のために半年前に結成された佛立楽団が、勢い良くサンバを演奏した。来年の山内講有来伯に向けてさらに練習を重ねるという。
コレイア教区長は「茨木日水上人の念願だった佛立植民地が、ここに実現されるお計らいを頂くことができた」と関係者に謝辞を述べ、本紙の取材に対し、「法塔が完成したらようやく一区切り。1920年代後半、日水上人が実現できなかったことをようやく実現できた」と感慨深げに語った。