ブラジル本門佛立宗が、茨木日水上人の悲願だった「佛立植民地」建設に向け、第一歩を踏み出した。法塔、寺、修行道場や福祉施設を併設し、それらを〃聖地〃化する壮大な取り組みだ。生長の家、PL教団、世界救世教など〃聖地〃はいくつもあるが、仏教では初だ▼聖地とはいえ現世にあることは変わりなく、実現には莫大な資金が必要だ。壮大な計画を前に、相当な準備があるのだろうと踏んでいたら、コレイア教伯教区長からは「いや、お金はありません。ようやく敷地の代金を完納する所です」と意外な返答が返ってきた。敷地代金の返済だけでも「5年間、毎月1千人から20レずつ集めて払える設定」という長い道のりだった▼「金に物を言わせるのではなく、一致団結し、長年かけて血と汗を流して取り組み、『皆のもの』と思える聖地にしたい」との想いが込められている。その信徒の意気込みこそが〃聖なるもの〃なのだ。そんなトップの熱意に応えるかのように、親に倣って小中学生も自らの小遣い差し出したとか。地鎮式には全伯から1千人もの信者が訪れ、「自らの手で作る聖地」としての重みを感じてか、何人もが涙していた▼「莫大な寄付金を吸い上げて豪華絢爛な巨大宮殿のような教会を建設」という話も聞くご時勢に、地道な聖地建設の取り組みには「宗教本来のあり方を突き詰めよう」との純粋な求道心を感じる▼中東で「イスラム国」が暗躍し、人身売買や見せしめ処刑などあらゆる禁忌を平然と侵すのを見るにつけ、仏教の平和な〃原理主義〃に喝采を送りたくなる。4つ目の「平和の鐘」がブラジルから世界へと鳴り響くことを願ってやまない。(阿)