【ベレン発=下小薗昭パラー州仁通信員】昨年アマゾニア連邦農牧大学(UFRA)と協定を結んだ東京農業大学が、先月末に第1回派遣交流事業を行なった。交換交流規定に基づく「ブラジル短期実習留学プログラム」により、佐藤孝吉、入江憲治両農学博士と学生9人による交流使節団、研究者2人が同地を訪れた。
東京農大では現在国際交流に力を入れており、ブラジル含む23カ国と提携、これまで8カ国に100人の学生を派遣した。2003年にサンパウロ総合大学ピラシカーバ校とも協定を結んでいる。UFRAとは研究室や学科レベルの行き来はあったが、全学を挙げての交流は今回が初。
学生は8月26日から9月8日まで滞在し、UFRAのカスタニャール農場や東京農大の交友農場で見学や実習を行ったほか、日系・ブラジル企業の工場見学やトメアスー日系農家でのファームステイー(農場寄宿)などを経験した。
佐藤教授は「ブラジルは調べれば調べるほど魅力が増す国。この国の農業の可能性や学生の将来も考え、幅広いプログラムにした。実が結べば毎年続けたい」と話した。
また研究者2人による共同研究として、トメアスー日系農家を対象とした調査も実施中だ。このほか卒業論文作成のため学生1人が来伯した。また、協定締結を機に「アマゾン地域における農業開発の新たな方向」と題し、両大による共同研究も始まっている。
交流事業開催に伴い、UFRA中央館後方の環境学部2階に「東京農業大学国際交流事務所」が設置され、8日に開所式が行われた。UFRAの沼沢末雄学長、東京農大校友会北伯支部長の山中正二氏、小林雅彦在ベレン日本国領事・所長を迎えてテープカットが行われた。
東京農大OBが作る「ブラジル東京農大会」の沖眞一会長は、「これまでも交流はあったが、ブラジルを見て『すごいね』と言って終わりだった。今回は随分アカデミックになった。農大の枠を一歩超えたかな」と本格交流のスタートを喜んだ。