ブラジル日本研究学会(ABEJ)等の招聘により、名古屋大学院文学研究科の日比嘉高准教授(41、愛知)が、9日から15日まで当地に滞在した。11、12日にリオ連邦大学で行われた同学会では、日本独自の形式である私小説を引き合いに、専門分野の近代現代における日本文学について基調講演をした。
「現在は個人情報保護の影響で、私小説が書きづらい社会になった。私小説には時代ごとの生活や文化、考え方などが色濃く表れる。生きづらい世の中、格差社会などの問題はどの国にも共通する。それを私小説として発表する独特さに日本文学の面白みがある」などと解説した。
日語や日本文化学習者を対象にした同学会に関して、「非日系もかなり多くいて驚いた。日本に対する関心や理解の高さが伺えた」と感想を語った。
北米日本移民文学も研究しており、「かつてはサンフランシスコが中心だった。作品発表の場は邦字紙や雑誌が多く、ブラジルと共通部分がある。ただ、戦争中の強制収容によりバラバラになってしまった」と残念そうに語った。
当地の移民文学に関しても、「以前、60年代のコロニア文芸誌を読む機会があり、当時の時代背景を捉えることが出来た。とても貴重な資料なので、もっと日本の研究者にも読みやすく、手に取りやすい形に整理できれば良いのでは」との印象を語った。
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