サンパウロ州の水不足の危機が叫ばれ始める前から、ベイ出版社が4年前に出した書籍『Como Cuidar da Nossa Agua(私達の水をどうケアするか)』は、ブラジル内の水供給の不規則さを指摘していた。同書によれば、ブラジルの水資源の80%はアマゾン地域にあるが、人口超過のサンパウロでは住民一人当たり81万リットルの水しか残らない。
都市の将来に関する討論会(ディベート)を行う国際フォーラム「Arq.Futuro」が23、24両日にサンパウロ市イビラプエラ公園内の講堂で行なわれ、日本人建築家の坂茂(ばん・しげる)氏も講演者として参加すると23日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。坂氏は建築界のノーベル賞「プリツカー賞」も受賞し、国際的に活躍している。
坂氏は京都造形芸術大学の教授で、再生紙を建築の材料に使用したパイオニアで、環境省の招待でアマゾナス州の国立公園計画にも携わっている。
坂氏は初日に最初の講演を行い、次に米国人の元ロードレース選手ティム・ダッガン氏が米国カンザス州の都市計画やモンタナ州のインディオ保護区に関する講演を行った。その後は、米国人俳優ブラッド・ピット氏が設立したMake it Right Foundation(MIR)財団のメンバーであるドイツ人ラード・クリュックバーグ氏が大都市における水処理に関するプロジェクトについて講演した。
両者は共に、MIRが採用した、2005年にニューオーリンズがハリケーン被害に遭った後の市の復興計画に責任者として関わっている。
その他シンガポール、イタリアなどからも講演者を迎え、「水が豊富にあった時代から水不足の時代への危機的な移行」などをテーマとする「都市と水」に関するディベートが各国の専門家、公共機関の代表者の参加によって行なわれる。
フォーラム主催者のマリサ・サレス氏は「私たちは水はいつでも豊富にあるという考え方で育ってきており、それが水の無駄使いに繋がっている」と話した。