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ブラジルでの太陽光発電は?=実験段階未だ超えられず

 2011年、セアラ州タウアに1メガワットの発電能力を持つ巨大な太陽光発電の実験施設が出現した。数年間で発電能力を50倍にという野心的な計画は、その当時の時の人、エイケ・バチスタ氏によるものだ。
 だが、その計画はXグループ失墜と共に水泡に帰し、ドイツ系のEneva社の手に渡った施設は、従業員7人の手で1メガワットの発電能力をやっと保っている。
 エイケ氏の計画立案以降始まったブラジルの太陽光発電事業は少数で、実験的な段階を超えられていないものが多い。技術的な実験に終り、金を稼ぐ道具にまでなりきらないのは、経済的な面も含めた政策支援を受けていない事も一因だ。
 サンパウロ州のタンキーニョに2012年に建設されたCPFLの太陽光発電所は、エイケ氏の計画と同規模の能力を持つが、こちらも実験的段階を超えていない。
 CPFLは2013年のエネルギー部門の入札に300メガワットのプロジェクトを提出したが、契約は成立しなかった。同社は今年の10月末に行われる入札にも応じる予定だ。
 サンタカタリーナ州に全国一の発電所を持つトラクテベルは、国家電力庁(Aneel)の研究開発プロジェクトであるP&Dの一部で、3千万レアルを投じて建設された。ここでは、ブラジルにとって最も効果的な太陽光発電のあり方を探るための技術や供給者を試している。
 トラクテベルは自分達が得た電力を自由市場に1メガワット/時当たり670レアルで売り出されている。
 2年間の研究期間を経て、太陽光発電でも採算が取れる段階に入ったとして市場進出を狙っているのは、バイア州内に風力発電所と太陽光発電所を併せて建設する意向のレノヴァ・エネルジア社だ。同社のマチアス・ベッカー社長「昼間は太陽光、夜は風力で発電する」と意気盛んだ。レノヴァ社も10月の入札に参加し、1万メガワットの発電能力を持つ400件のプロジェクトを提出する意向だ。
 昨年のペルナンブコ州での入札では、122メガワットの電力が1メガワット/時当たり228・63レアルで売買する契約がまとまった。この時の落札企業は、イタリアのエネル・グリーン・パワーやドイツのソウィテックなどだ。
 太陽光発電事業を推進するための基本的な資材は輸入品が大半だ。ソーラーバッテリーとも呼ばれるフォトボルタイック(PV)に不可欠なシリコンは中国から購入しているが、シリコンの元となる生シリコンはブラジル産であるため、資源保護と業界発展のための公的政策の確立が待たれている。
 太陽光発電では世界4位の市場を持つドイツでは、6月9日に電力需要の50・6%が太陽光発電によって賄われるところまで来た。同国ではPV価格が2006年の半分以下となり、それ以外の手段の発電設備を建設するよりも安くつく。
 同国では個人の家に設置したPVで生じた過剰電力の買取保証を行っていたが、2013年に政策が変更され、PVの導入数が初めて落ちた。それでもPVの価格低下などで2010~12年にはPVが爆発的に導入されたという。(9月29日付エスタード紙より)