パラー州都べレン市内の汎アマゾニア日伯協会で19日夜、『移住85周年記念式典』が盛大に行われた。同協会は15日に始まった「日本週間」の会場にもなり、神内講堂には約500人(主催者発表)が集まり、節目を祝った。
生田勇治会長は、「ペルー下り」に始まるアマゾン地域の日本人移住の歴史を振り返り、式典開催の意義を「日本人とパラエンセ、2つの民族の融合の確認と開拓者の顕彰」と強調。今後のブラジル社会への日本文化の普及拡大と、両国の関係深化を願った。
梅田邦夫・駐日ブラジル大使は、式典に出席していた山田会頭の父で山田商会創始者・山田義雄氏の息子・山田純一郎氏、イザウラ夫人に、「お2人が築かれた人生は我々に勇気を与えてくれる」と語りかけ、次世代のブラジル社会への貢献を称えた。
健在の第一回移民、山田元さん、山田フサコ・イザウラさん、池谷ローザさん、加藤昌子さんの4人を代表し、イザウラさんが記念メダルを受け取った。
在外公館長表彰は医師の及川定一さん(70)、元汎アマゾニア日伯協会会長の丸岡義夫さん(67)、連邦裁判所事務官でサントイザベル・サントアントニオ日本語学校の元教師長島ジュリア登志子さん(49)、パラー州公安局長のルイス・フェルナンデス・ロッシャ氏(56)の4人に贈られた。
「幸せ。名誉に思います」。子供や孫とともに出席したイザウラさん(86、静岡出身)は嬉しそうに語り、及川定一さんの弟で獣医の研二さん(67、東京出身)は「父は自分が犠牲になって子供を皆大学に通わせた」と振り返り、今日の日系人の活躍ぶりを「誇りに思う」と笑った。
また、会場では『汎アマゾニア日伯協会創立55周年記念誌』のランサメントも行われた。
汎アマゾニア日伯協会では、9月15~20日、『第27回日本週間』が開かれた。アマゾン移民85周年を記念し、日本料理、生け花、琴、習字、太鼓、そろばんなどのワークショップなどが行われ、来場者を楽しませた。
会館前には北伯県人会協会の5県人会が軒を連ね、自慢の郷土料理などを販売した。香川県人会の山本陽三会長は孫達が忙しく働くブース前でうどんをすすりながら、「今回で参加は3回目。ブラジル人にも人気ですね」と満面の笑み。
47都道府県のご当地切手、各種記念切手の展示を行ったのは、篠崎邦子さん(67、宮城)、一美さん(37)親子。展示に見入る来場者にポ語で説明していた。
「切手には、日本の歴史がある。子供の頃から集めていた」と流暢な日本語で話す一美さん。今年は「ふるさと切手」をテーマに決め、日本地図を描き、各県の切手を並べ、ポ語で説明を添えた。幼少時から切手を集めていた邦子さんの作業を引き継ぎ、日本のものに限らずブラジル、諸外国の切手を集める。
「日本の切手を見る機会があったとしても描かれている絵柄の意味がわからない。そんな人向けに展示をやりたかった」と思いを語った。
会館外では色とりどりの着物姿の女性が町を踊り歩き、祭りを盛り上げた。
梅田大使歓迎会に40人=地元の協力、提案求める
べレン市内の汎アマゾニア日伯協会に隣接するレストラン「博多」で19日午後、地元日系団体の代表や企業家など約40人を集めた梅田邦夫大使の歓迎会が開かれた。 今回2回目のベレン訪問にあたり、トメアスーの50年史やアマゾン移民80年史を熟読したとし、「自然との闘いの中で歯を食いしばり、言葉にならない苦労があったはず。二世の活躍は目覚しく、トメアスーの森林農法は世界の模範。敬意を表したい」と話した。
来年の日伯外交樹立120周年について「色々な年間行事を関連イベントにしてほしい」とした。8月の安倍晋三首相の来伯についても触れ、日本政府として日系社会の連携強化、日本祭りへの支援、医療分野での協力を通じて関係強化に努めたいとの考えを説明、「皆さんの協力や提案をお願いしたい」と呼びかけた。
乾杯の音頭を取ったパラー日系商工会議所の山田フェルナンド会頭は、「アマゾン地域の日系社会は、ブラジルにおける最良の日系社会。皆、日本文化が大好きで、自分も日本人の子孫であることが誇り」と挨拶し、乾杯後出席者は和やかに食事や交流を楽しんだ。