サンパウロ州保健局が9月29日、サンパウロ市サンタカーザ・デ・ミゼリコルジア病院の経営状態に関する調査の結果、運営面で重大なミスがあった事が判明と発表した。同局は州政府の特別審議会が日毎の金の動きを監視する方針も表明したと9月30日付伯字紙が報じた。
サンタカーザ病院に関する調査は2カ月前、同病院が30時間にわたり救急外来を閉鎖した事がきっかけで始まった。この調査は、連邦、州、市の各政府関係者と同病院の関係者からなる委員会が担当している。
閉鎖当時、病院側は医薬品などを購入する資金がないと説明。患者への対応は州政府による300万レアルの緊急支出後に再開されたが、その後の資金提供は経営状態の調査が条件だった。
州保健局によると、同病院の経営状態悪化は劇的で、「民間企業なら倒産止むなし」という状況だ。13年の同病院の純資産は、2009年の2億2030万レアルより98・5%少ない32万3千レアルだ。他方、同期間中の銀行などからの長期貸付は1億150万レアルが3億6160万レアルに256%増加。負債総額も1億4610万レアルが4億3350万レアルに増えた。
負債総額に関しては、9月22日に同病院監督官に就任したイリネル・マサイア医師も、前任者が主張していた4億レアルではなく、4億5千万レアルに達する可能性があると言及していた。
イリネル医師はサンタカーザ病院生え抜きの医師で医学部でも教鞭をとり、理事会メンバーも務めていた。22年間監督官だったアントニオ・カルロス・フォルテ氏辞任後、同病院最高責任者のカリル・ロッシャ・アブダラ氏に抜擢された。
イリネル医師は9月25日、同病院の駐車料金は相場より31%安く、不動産850軒の賃借料も収入の2%相当の250万レアルでしかない事などを挙げ、経営再建に努める意向を示した。
ダヴィド・ウイプサンパウロ州保健局長は、同病院に対する金の動きの監視は、負債を肩代わりする事なく経済支援を継続できる唯一の方法で、経営介入ではないと説明した。
同局長によれば、州政府は当面の運営継続のための緊急資金と共に、イリネル医師に協力して経営再建に携わる人物を雇うための資金提供を考えている。経営状態の監査に関する具体的な条項などは9月30日に協議されるが、保健省は29日発表の数字は保健省が州に送付した金額と食い違い、最終報告とは認め難いと抗議。州保健局は、保健省は一部資金を二重に記帳、病院への支給額は州政府が主張してきた金額通りだとしている。
州検察局は、アブダラ氏やフォルテ氏の行動に違法性がないかなどの厳重調査を行う意向だ。