あす5日は大統領選挙の投票日となる。事前予想では現職のジウマ大統領(労働者党・PT)の一次選挙突破はほぼ確実視されているが、26日の決選投票にマリーナ・シウヴァ氏(ブラジル社会党・PSB)とアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)のどちらが進むのかが注目されている。今回は、ここまでの展開を総括し、投票を占う。
現時点では、再選を狙うジウマ氏が一次投票を突破するという状況に変わりはなさそうだ。ジウマ氏は、2日に出たダッタフォーリャやIbopeの世論調査でも40%の支持を獲得している。
同大統領に関しては、国内総生産(GDP)が伸び悩み、景気後退(リセッション)に入ったこと、年間インフレ率が目標上限の6・5%を超えそうな状況にあること、それに伴い、国内外で現政権の経済政策に対する否定的な見方が存在するなどの懸念材料がある。
また、ペトロブラス関連でも、PTや連立政党の最大党・民主運動党(PMDB)の不正関与が囁かれるなど、メンサロン事件に続く大型汚職事件を予感させる動きがあった。
だが、いざ政見放送がはじまると、豊富な放送時間を生かし、貧困者の中流への底上げや雇用の安定などを主張。急速に台頭しつつあったマリーナ氏への批判も功を奏している。
だが、現時点ではマリーナ氏やアエシオ氏らの対立候補の支持率を合計した支持率を上回っていないため、ジウマ氏が有効票の過半数を得て、一次投票で勝利するのは難しいと思われる。
では、マリーナ氏、アエシオ氏のどちらが決選投票進出に有利かを考えると、現時点では予断を許さない状況となっている。マリーナ氏は9月中旬まで、「PTとPSDBの二極化時代の終焉」や「政界浄化」「経済立て直し」の新鮮なイメージから、改革を期待する層の強い支持を集め、決選投票で大統領選勝利との予想まで出ていた。
だが、ジウマ氏がキャンペーンで人脈や過去の経歴などを批判し、クリーンなイメージが損なわれはじめると支持率が徐々に落ちた。また、政治の第3勢力を謳ってはいるものの、政党的な支持基盤の弱さから、政権を獲得しても、議会運営のためにどういう方向性を取るのかが見えないなどの問題点もある。
一方、ここに来て支持率を回復して来たのがアエシオ氏だ。8月13日のPSB前候補のエドゥアルド・カンポス氏の急死でマリーナ氏が代理候補となって以来、「ジウマ氏の対抗馬」のイメージをすっかり奪われていたアエシオ氏は、「経済立て直し」を期待する企業家からの支持や、かつての政権党であった信頼感、ペトロブラス疑惑でPSDB関係者の名が上がらなかったことなどを利点に、9月下旬から支持率を上げてきている。
2日付のダッタフォーリャの調査では、マリーナ氏が一時34%まであった支持率を24%まで落としたのに対し、一時14%まで落ちていたアエシオ氏の支持率は、マリーナ氏参入前に記録していた20%を1%ポイント上回る21%に盛り返している。