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式典で挨拶する山内支部長
式典で挨拶する山内支部長

「文化は次世代への預かり物」=創立20周年祝典盛大に=琉球民謡保存会ブラジル支部

 琉球民謡保存会ブラジル支部(山内盛一支部長)の創立20周年祝典と第8回民謡の祭典が9月28日午後、沖縄県人会本部大サロンで開催され、約400人が集まり盛大に祝った。サンパウロ州バウルー、グアルーリョス、サントアンドレー、ヴィラ・カロン、サントスなどに30ほどの教室が開かれ、約250人が毎週研鑽している成果が披露された。

 式典ではまず先亡者に黙祷、続いて山内会長が「歌手の皆さんが日頃家事の合間に趣味として郷愁を込めて唄い継いでまいりました、故郷の民謡の祭典です」と挨拶し、山城正廣実行委員長は「初代支部長に亀谷安男が推挙されその産声をあげ、安慶名信夫が二代目支部長に就任し、困難な90年代を役員、会員一致結束の元で着実に成長し、10周年、今日の20周年を迎えることができた」と感慨深げに振りかえった。
 さらに田場ジョルジ沖縄県人会会長、同保存会の沖縄本部の久高友吉会長からのメッセージが「伝統文化は先人から受け継いだだけでなく〃預かり物〃でもあります。預かり物は大切に扱い、次の世代に残さなくてはなりません。第二の故郷ブラジルに四世、五世と受け継がれていることは、皆様のうちなー魂と民謡を愛する情熱の賜と感謝する次第です」などと代読された。
 功労者表彰が親川世松、久場良喜、嘉数秀治、崎間達夫、仲村善正(故人)5氏、歴代支部長表彰が安冨祖元、山城正廣、大城文正、座嘉比昇、米須正5氏に渡され、免許状授与式では城間信夫、米須正2氏に師範、上地ハルミ、宜野座クリスチーナ2氏に教師の免状がうやうやしく渡された。
 授与された上地さんは「今日は特別な日。これも親川世松先生のおかげ。三線の弦はいつも三本揃って一緒に音を出す。今まで以上に皆と力を合わせ、若い世代にさらに普及しなくては」と喜びを語った。
 その後、民謡の祭典となり、教師と師範による「かぎやで風節」から始まり、民謡、舞踊など17の演目が披露され、午後8時頃に全員のカチャーシーで締めくくった。途中、沖縄から駆け付けた島袋整考、喜友名清徳、池原繁夫、金城誠心、諸見里安生5氏による特別出演もあった。
 来場者の島袋清考さん(78、沖縄市)は「本部から従兄二人が来たので、楽しみにしてきた。自分は開発青年隊で単身渡伯したが、父は沖縄で、兄はボリビアで民謡教師をしている。子供の頃から家で父が三線を引いて歌うのを見て来た。民謡を聞くと心が和む」と嬉しそうに語った。
 国場藤子さん(77、二世)も「孫の知念ユウジ(18)が出演するので楽しみに来た。10年も習っているから、すごく上達したと感心している。民謡は最高。孫は沖縄空手や古武道もやっていて、沖縄文化が大好き」と破顔一笑した。
 山内会長は「こんなに沢山来るとは思わなかった」と会場を見回し盛況の様子を喜んだ。