ブラジル本門佛立宗の開祖・茨木日水上人の悲願だった〃佛立植民地〃の建設に向け、同宗が確かな一歩を踏み出した。終戦70周年を迎える来年7月、聖地建設の嚆矢としてサンパウロ州タピライ市に法塔を設置し、世界4個目となる「平和の鐘」を据え付けるという。先月14日に日本から木村日覚宗務総長はじめ青年教務45人、全伯各地の信者約1千人を迎え、盛大にその地鎮式が行われた。コレイア教伯教区長は「法塔が完成したらようやく一区切り。日水上人の悲願をようやく実現できた」と感慨深げに語った。
佛立植民地とは、サンパウロ市から南西136キロにあるタピライ市の自然保護区に、寺、福祉施設、キャンプ場や修行道場を併設した〃聖地〃を建設するもの。大西洋岸森林が覆う敷地は東京ドーム50個分(76アルケール)もの広さがある。
法塔は聖地入り口付近の湖畔に建立され、広島市平和記念公園にあるのと同じ平和の鐘が下部に据え置かれる。来年3月に完成、7月26日に同宗第25世講有の山内日開上人を迎えて落慶建立式が行われる。
木村宗務総長は厳かに地鎮式を執り行うと、「ここで打ち鳴らされた平和の鐘が、ブラジル全土、そして世界中の人の心にこだまし、世界平和が実現するよう願う」と挨拶をした。
半年前に結成したばかりの佛立楽団が、サンバを演奏し式典に華を添えた。来年の山内講有来伯に向けてさらに練習を重ねるという。
コレイア教区長は「子どもや孫に伝えたい、『皆のもの』と思える聖地を造りたい」と聖地建設に向けて意気込んだ。
この度は待ちに待った大イベントだった。ブラジル史上初の70人の僧侶パレード、日教寺に於いては、青年会主催の春祭り、佛立聖地での地鎮式―。
まさに御仏が説かれた生きた仏教の証そのものである。先師上人やブラジル仏教初祖、茨木日水上人が種まきをなされたようだった。
プリモリアル仏教(本門佛立宗)は、悟りの原因として上行日蓮大菩薩のお題目をお唱えして、人々の心に幸せの種をまく宗教です。だから平和が願える、希望が持てる、生きていけるのです。
来年7月には、本山の山内ご講有をお迎えして、平和祭り開催と平和の鐘の法塔を建立させていただきます。
それまで、もちろんその後も信仰を通しての世界平和、浄佛国土建設に皆で精進させていただきます。
平和と平等は特に仏教の最も特徴的な教えです。信仰は世の為人の為でなければなりません。法華経でみ仏が「信心成仏」と教えられるからには、我々はこの信心の道に入り、恋慕渇仰と素直な心でひたすらご本尊にご祈願をかけて南無妙法蓮華経のお題目をお唱えすれば必ずご利益がいただけるのです。
今の活気溢れるブラジルの佛立宗ならもっと飛躍することができます。ですから、その可能性を最高に引き延ばしてくれる信心を我もし人にも勧めさせていただこう。 ご信心をないがしろに平和も平等もありえないので心から速やかに信の入り、真の幸せをいただこう。
サンパウロ市リベルダーデ区の東洋会館前から世界平和を祈念する『仏教徒平和パレード』が13日午前に行われた。
全伯信徒が参集し、日本から来伯した宗務総長の木村日覚上はじめ45人もの教務が来伯した。一般人を含め約400人が東洋人街を行進し、同宗の最高規範「世界恒久平和」を願った。
コレイア教区長や木村宗務総長らが音響車に乗り込み、午前9時過ぎに東洋会館を発った。「誰でも幸せになれるお題目を皆さんで唱えましょう。南無妙法蓮華経―」という呼びかけの下、沿道に手を振りながら東洋人街を練り歩いた。
午前10時半ごろ、パライーゾ駅近くのサンパウロ文化センター(Centro Cultural Sao Paulo)に到着し解散。コレイア教区長らは、パレード成功に笑顔を見せた。
木村宗務総長も、「宗教離れする世の中に一石を投じ、信仰心の本質を見つめなおす機会になったのでは」と喜んだ。
同11時からは日教寺の「春祭り」が開場。多くの来場者が日本食やステージでの演目を楽しんだ。午後7時からは木村宗務総長が講演を行い、同宗の在り方を説き、理解と布教に努めた。