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アウキミン州知事の全市制覇を阻んだのは?=サンパウロ唯一の「PTの市」

 5日に行なわれたサンパウロ州知事選挙は、現職のジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)が57%の支持を獲得し、圧勝で再選を果たした。その完勝ぶりは、サンパウロ州内全645市中、644市で支持率1位を記録したほどだったが、逆に、唯一同氏が1位になれなかったのがどの市なのかが注目された。
 その市の名前は、オルトランジア。サンパウロ州中央部にあり、同州を代表する大都市の一つ、カンピーナス市の郊外にある市だ。
 人口21万2千人のこの市でアウキミン氏が勝てなかったのはなぜか。それはズバリ、ここの市民が筋金入りの労働者党(PT)支持だからだ。
 ブラジルの場合、大統領は2003年以降、PTから生まれているが、サンパウロ州知事は1995年以降、ずっとPSDBが握り続けている。
 だがオルトランジアには同州の他の市の理屈は通じない。ここでは3期連続でPT党員が市長をつとめている。今回の知事選でもここだけが唯一、PT候補のアレッシャンドレ・パジーリャ氏が38・60%の支持を得、34・88%だったアウキミン氏を上回った。パジーリャ氏の州全体での支持率は18・22%で、知事選では3位に終ったことからも、この市でPTがいかに強いかがうかがわれる。
 さらに言えば、10年の知事選でもオルトランジア市民の57・93%は、これまたアウキミン氏の前に一次投票で敗れたアロイジオ・メルカダンテ氏(現・大統領府官房長官)への支持を表明。アウキミン氏の支持率は約半分の29・45%だった。
 アゴラ紙は7日付でオルトランジア市民に取材を試みた。「ずっとPTに票を入れているよ」と言う機械作業員のクレベール・ラモスさん(32)は、その理由を「PT市長になる前のこの市はアスファルトや下水さえなかったし、交通だってひどいものだったんだから」としている。
 アウキミン氏はオルトランジア市に関し、「あそこはかなり長いこと、PTが市長をやっているからね」と同市で1位を取れなかったことに納得している。(7日付アゴラ紙より)