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ブラジル南部=天国でも仲睦まじく=同じ日に逝った老夫婦

 3日、リオ・グランデ・ド・スル(南大河)州都ポルト・アレグレ市内の病院の同じ病室、隣同士のベッドで高齢の夫婦が40分の差で息を引き取った、と8日付のフォーリャ紙が報じた。
 結婚以来65年、共に過ごして66年という夫婦にとり、終わりの時は同じ日に訪れた。
 イタウヴィノ・ポッサさんがディバ・アルベス・オリベイラと出会ったのは1948年。ポルト・アレグレから260キロ離れたマラウ市でのダンスパーティーで出会った二人は、その後二度と離れることはなかった。
 結婚式は出会いから少し後の1949年5月14日に行われた。初めは同州の農村に住んで、大豆を栽培していた。イタウヴィノさんの家族は多くの使用人を雇い、土地も貸し出していた。その後、パラナ州や南大河州パッソ・フンド市にも住んだ。
 イタリア移民の息子であったイタウヴィノさんは農業を離れ、トラック運転手になった。現在58歳の娘のファチマ・ポッサ・ヌネスさんによれば、イタウヴィノさんは州の電力公社で30年間、トラックの運転手として働いたという。
 定年時には既にポルト・アレグレに住んでいた。ディバさんは常に、主婦としてイタウヴィノさんのそばに寄り添っていた。二人には10人の子供が生まれたが、その内の3人は生後1日と25歳、15歳で亡くなっている。
 ファチマさんによると2人は似た者同士で、2人とも冗談が好きだったが、ディバさんの方が控えめな性格だった。
 イタウヴィノさんは妻の事を「母さん」と呼び、ディバさんは夫を洗礼名で呼ぶのが常だった。イタウヴィノさんは毎朝シマホンを作り、ベッドにいる妻に届けるのが習慣だった。
 家では庭を2人で散歩し、植物の手入れをするのが日課だった。2人とも1匹ずつプードルを飼っていた。そして共に通っていたキリスト教再臨派(アドベンチスト)の教会の賛美歌を歌うのが好きだった。
 喧嘩もした。「どんな夫婦もそれは同じで、両親は普通の人と一緒。楽しいことばかりの人生ではなかったわ」と娘のファチマさんは言う。
 昨年8月に鼻血で病院に行くとイタウヴィノさんは白血病と診断され、3カ月の入院を余儀なくされた。退院後も入退院を繰り返し、週に1度輸血を受けた。
 今年1月、今度はディバさんが痛みを訴えるようになり、3月には膀胱に腫瘍が見つかった。医者は外科手術ではなく、化学療法を薦めた。「最初の15日は上手く行っていたけれど、また入院することになって、それからは退院できなかったわ」とファチマさんは語った。ディバさんは5月から、ポルト・アレグレ市のサンルーカス病院に入院していた。
 ところが今月3日、イタウヴィノさんが内出血を起こして同院に入院。夜の間中、妻の名前を呼び続けるイタウヴィノさんを見て、病院は2人を同室に入れた。
 ファチマさんによると、ディバさんはイタウヴィノさんの傍らまで行ったが、イタウヴィノさんはもう事切れていたため、二人のベッドをくっつけ、二人の手を握らせたという。
 イタウヴィノさんは午後3時に89歳で亡くなり、ディバさんは昏睡状態になる前に子供全員と会い、夫から遅れること40分後に80歳で亡くなった。2人はポルト・アレグレ近郊のアルボラーダに埋葬された。孫14人、ひ孫6人に囲まれ、幸せな最期だった。