国際通貨基金(IMF)が7日、ブラジルの今年の国内総生産(GDP)の伸びは0・3%で、新興国はおろか、南米でも低い成長率で終るとの見通しを発表したと8日付伯字紙が報じた。
IMFが発表したブラジルGDPの成長見通しは、今年0・3%、15年1・4%、16年3・0%で、世界全体の今年3・3%、15年3・8%、16年4・0%という見通しや新興国の4・4%、5・0%、5・2%という見通しを大きく下回っている。
7月のIMFの予想では1・3%の成長だったから、1%ポイントもの修正は、ブラジルが景気後退(リセッション)入りした事や、大統領選の行方が見えず、政治的に不透明な状況が続いている事なども原因だ。
だが、ブラジル政府が常に言う「国際的な景気の回復の遅れ」がブラジル経済の伸びを阻害しているとの弁明は、ものの見事に否定された。
IMFは、ブラジルの経済停滞は投資の不足、企業家や消費者の信頼感の不足、政治的な先行き不透明感などが主な要因だという。また、インフレ抑制のために13年4月から始まった経済基本金利引上げも成長を抑制していると判断。金利引下げはインフレ抑制が前提だが、9月の拡大消費者物価指数(IPCA)は0・57%上昇。12カ月間の累計は6・75%に達しており、当面は高止まりするしかない。
IMFは貿易収支や国際収支の悪化もブラジル経済低迷の原因の一つとしているが、経済成長を妨げている基本的な要因は国内にあると見、国際的な競争力向上、教育や職能訓練の効率化、物流を中心としたインフラ整備、投資増額、貯蓄増大などが不可欠と提言した。
今年の伸びが0・3%という予想は、中央銀行が行う経済予測Focusでブラジルの市場関係者が出した0・24%という数字より肯定的だが、世界全体の成長予想の半分以下で、新興国の成長予想(4・4%)の3分の1以下というのは、1994年のレアル・プラン導入以来、初めてだ。
BRICs中、ブラジル同様に低い評価だったのはロシアだけで、今年0・5%、来年0・2%の成長と見られているが、ロシアの場合はウクライナ問題に起因する経済制裁が原因で事情が異なる。
また、南米諸国においてもブラジルは成長路線を踏み外した国の一つだ。状況が最も厳しいのはアルゼンチンの今年マイナス1・7%、15年マイナス1・5%で、ベネズエラのマイナス3%とマイナス1%がそれに続く。他の国々の成長見込みはずっと好調で、チリが2・0%と3・3%、ペルーが3・6%と5・1%、パラグアイが4・0%と4・5%、コロンビアが4・8%と4・5%などとなっている。