樹海

 アサイーが日本で人気だ。東京などの一部では市民権を得たといってもいいほど一般化しているという。果物などを載せた「アサイーボール」は美味しくて健康にもいい、とあちこちで食べられるとか。ただ、ブラジルが本場というのは残念ながら知られていないようだ。先日見たドラマでもハワイのデザートとして紹介されていた▼普通に生活していて食材の産地がどこなのかを気にすることはあまりないだろう。しかし、ある種の嗜好を持った人はそれにこだわる。今年8月、小紙にメールが届いた。日本最大級の紅茶品評会を主催する『尾張旭市を日本一にする会』の堀田信幸氏からで、「ブラジルで紅茶が生産されているとは! 是非日本で紹介させて欲しい」という熱い思いのこもったものだった▼ブラジル在住の方ならご存知のように、サンパウロ州レジストロはかつて、紅茶の大生産地だった。しかし現在は、栽培から商品化まで一手に行うのは「天谷」のみになってしまっている。堀田氏は、「日本人の歴史を途絶えさせてはいけない」と商品の〃里帰り〃を提案してくれた。早速天谷茶とを取り、先月21日に無事出品を果たした(10月2日7面に詳細)▼他9カ国からも出品されたが、愛好家からの天谷茶への評価は一様に高く「世界の傾向と需要をつかめばもっといいところにいける」と日本のうるさ型のマニアたちを納得させるレベルだったようだ▼会場には、レジストロの歴史や生産現場を伝えるパンフレットも配布。「コーヒーだけじゃないブラジル」。小さいながらそんな新たなイメージが伝わったと思えばちょっと嬉しい。(剛)