ホーム | 連載 | 2014年 | 県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂 | 県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(3)=節目の度に成長を続ける=洗練されたペルー料理に舌鼓

県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(3)=節目の度に成長を続ける=洗練されたペルー料理に舌鼓

 見学後、大ホールに招かれ歓迎昼食会。岡田フランシスコ会長は歓迎の言葉を述べ、「ペルー日系人協会は国内日系団体の中でも最大です。これからの使命は第二の団体である婦人会と共に、日系社会の後押しをすること。高齢者に楽しく長生きをしてもらうことが我々の仕事。ブラジルの日系社会と共に共同事業が出来れば嬉しい」と交流に意欲を見せた。
 それに対し、木原好規団長(ブラジル和歌山県人会会長)は「ブラジルには日系人が160万人もいるというが、ただ数が多いだけで、こんな立派な施設はない。節目の折々にハコモノが出来ているこちらと比べ、ブラジルは何か問題がある気がする。立派なこの協会の運営を肝に銘じておかなければ」と述べた。
 同国の日系人口は10万人で世界第3規模だが、ブラジルに比べればわずか16分の1。しかも、内3万人は日本に出稼ぎに行っている。リマの中心部にそびえたつ会館は「問題は人数ではない」とでも言いたげだ。
 ブドウで作った蒸留酒にレモンと砂糖を足した国民的カクテル「ピスコ・サワー」で乾杯すると、敷地内のレストラン「仲地」が次々に運んできた料理を賞味した。
 ポテトサラダ「カウサ・デ・レジェーナ」、牛肉と野菜を炒めた「ロモ・サルタード」、魚介のマリネ「セビッチェ」、アボガド寿司、紫とうもろこしで作ったジュース「チーチャモラーダ」…。盛り付けも洗練されていれば、味も絶品。「本当に美味しい!」「盛り付けもきれいだねえ」と参加者の箸はどんどん進む。
 最近、世界の美食家の注目を集めているというペルー料理。首都リマのある沿岸地方の料理は「クリオーヨ料理」と呼ばれ、黒人、先住民、ヨーロッパ人、中国人、日本人など多様な国民の影響を受けて発展したもの。南極から流れる冷たいフンボルト海流が運ぶ新鮮な海産物と、同国原産のジャガイモやトウモロコシが主要な食材だ。こうした良質の素材も手伝ってか、毎年イギリスのグルメ雑誌が発表する「世界のベスト・レストラン50」には、昨年リマから2軒ものレストランが選出された。
 ブラジルからの参加者と一緒に食事を楽しんでいた神内センターのデイサービスに通う新垣ミノルさん(81、二世)は、数少ない日本語話者の一人。「デカセギにたくさん出てしまって少し寂しくなったけど、日系人の結束は今も強い。私の子どもは、日本語はあまり話さないけど、日系ペルー人ということを誇りに思っていますよ」と誇らしげに話し、「藤森さんの娘恵子さんも、ここに時々来場しますよ。前回の大統領選では負けたけど、日系社会は彼女を応援しています。私も一票入れます」と穏やかに笑った。(つづく、児島阿佐美記者)