リオ州市警が14日、リオ州、サンパウロ州、エスピリト・サント州で、違法中絶を繰り返していた犯罪組織の関係者57人を逮捕した。エスタード紙によると、この中には医師6人と市警6人、軍警3人、弁護士2人、消防士と軍人各1人が含まれていた。それ以前にも5人が逮捕されている他、13人の捜索が続いていると15日付伯字各紙が報じた。
リオ市を中心とした違法中絶は、七つ(フォーリャ紙では九つ)の診療所で行われており、各グループは月最大30万レアルを稼いでいたという。中絶費用は1千~7500レアルで、若年妊娠や月数が進んでからの中絶ほど高額な手術費を払わされていた。
1962年に違法中絶で起訴された事もあるアロイジオ・ギマランエス医師(88)の自宅からは、同医師がスイスに口座を開いた事を示す書類と500万米ドルの振込み明細、中絶に使う機器や現金18万ドルなどが押収された。
犯行グループは警察の目から逃れるため、地区別の中絶センターを用意し、医師の自宅でも対応していた。警察は15カ月間に80人以上の女性から供述をとったが、その中には危険を伴う妊娠7カ月での中絶や13歳での中絶もあった。
容疑者らは37件の違法中絶や贈収賄、違法医療営業と武器まで使用する犯罪組織の結成運営などの罪状で告発される見込みだ。
中絶を希望する患者は電話で予約をとり、中絶センターに近い場所で迎えの車を待つよう指示されていた。診療所は賄賂を受け取った市警や軍警が、警察の監査が入らないように見張っていた。
中絶手術を行う場所は最低限の衛生管理さえされておらず、患者達は常に命の危険と隣りあわせだった。
一連の作戦を指揮する市警のフェルナンド・ベローソ警部は、「現行法では違法な手術を行ったものに対する罰が軽い上に収益が大きいため、犯罪に手を染める医師が後を絶たない」と述べた。
警察は手術を依頼した女性達を告発の対象から外し、司法当局に恩赦を要請している。