「会社の近くにあったら週一回通いたい」と同僚から聞き、さっそく讃岐うどん店「Meu Gohan」(7面詳報)を訪れた▼店主・水本良夫さんの職人的こだわりが随所に感じられる店で、自家製ブレンドの小麦で作った手打ち麺と、日本から原料を取り寄せて作った風味の良いスープに大満足で舌鼓を打った▼半生だったかぼちゃの天ぷらを除けば、下手な日本のうどん屋より美味しいかも―と思える納得の味で、誠実で研究熱心な店主の人柄から将来的な伸び代も感じた。もっとも、気の利かないブラジル人ウェイトレスには呆れたが、「見切り発車だった」というから今後の改善を待ちたい▼腰の低さと丁重な言葉遣い、客への気遣いを見て、「来たばかりの日本人に違いないね」と一緒に行った同僚と言い合っていたら、実は「三世」と聞き仰天した。日本の日本人と遜色がない敬語・謙譲語は、10歳から日本育ちで、更に東京の営業マン時代に鍛えた賜物か▼店内のお品書きや説明文も、一世顔負けの達筆さだった。いくら日本に20年近く住んだとはいえ、これほど生粋の日本職人のような日系人がいるものだろうかと感心した▼麺は当日の朝手打ちし、余った分は持って帰って自分で食べるという。出汁はペットボトルなどに詰めて冷凍すればほしがる人は山といそうだが、「冷凍すると風味が落ちる」とあくまで鮮度にこだわっている▼今は〃仮の宿〃だが、いずれは「自分の店」と考えているとか。当地ではようやくラーメンが市民権を得てきたが、次は「UDON」かも―という予感を感じさせる。日本食の裾野を広げる旗振り役として、その活躍に期待したい。(阿)