応用経済調査院(Ipea)の理事の一人が、貧困に関する調査結果の公表停止という理事会決定を不服として辞表提出と18日付フォーリャ紙が報じた▼極貧撲滅はジウマ政権の看板政策の一つだが、選挙への影響を懸念し、13年の全国家庭サンプル調査(Pnad)で前年度より極貧者が若干増えたという報告を出さなかったという▼12年には1090万人(5・8%)だった極貧者が6%の1110万人に増えた事は11日付のフォーリャ紙が既に報じた。社会政策に関する研究を担当する理事が、選挙前だから事実を伏せるとの理事会判断に納得がいかずに辞表提出という報道を読んで、自分でも同じ決断をするだろうと思った▼新聞社にいると、どんな内容の記事を掲載するかで葛藤に陥る事がある。自分の主張や好みに合わせて誇張された内容であっても、新聞という媒体に載れば正しい情報であるかのように伝わってしまう怖さがあるのに加え、伝えなくてはならない事にストップがかかる可能性もあるからだ▼かつて、購読者が広く知るべきと思って書いた記事に上司からクレームがつき、辞表を出した事がある。今でも、自分の信念を曲げ、入手した情報を歪曲した記事を書く事を要求されれば筆を折るつもりは変わっていない▼全国新聞協会は19日開催の「表現の自由」に関する国際会議で、ブラジルでは3月31日~9月30日に報道関係者に対する暴行事件が48件起きた事などを報告した。政治家などが都合の悪い記事を書いた報道機関に制裁を加える類の行動も許し難いが、公的調査機関が選挙絡みで広報停止などは、国民の知る権利への〃暴力〃行為に他ならない。(み)