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県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(6)=遺跡の眠る街リマ観光へ=ユネスコ世界遺産を見学

アルマス広場の教会

アルマス広場の教会

 二日目はバス3台でリマ市の観光ツアーへ。外は、夜間に街を覆った霧ですっかり濡れていた。今日もやはり曇天――。上着を着込んでバスに乗り込んだ。
 リマは1535年、スペイン人の征服者フランシスコ・ピサロがインカ帝国を滅ぼして築いた街。コロンビアからチリに跨り、スペインの南米支配の拠点として栄えた同帝国は、400年の繁栄に終止符を打った。「リマ」の名は市内を流れるリマック川に由来するといわれているが、当初は「諸王の街」(La Ciudad de los Reyes)と呼ばれたという。

 1988年にユネスコの世界遺産に登録された旧市街には、このスペイン統治時代に立てられた壮麗な建築物が多く残るため、主要な観光地となっている。
 一行が初めに訪れたアルマス広場(現マヨール広場)はリマ建設の中核となった場所。大統領府や、ピサロの遺体が安置されるペルー最古のカテドラル、市庁舎及び市の主要公共施設が噴水を囲んで四方に立ち並ぶ。
 バスガイド兼通訳の若林カルロスさん(49、三世)によれば、「世界遺産になる前は、ゴミだらけだった。治安が悪いと世界遺産になれないので、前の市長がカメロ(露天商)を追い出し、バス停もはずし、徹底的に街を美化した。ここに来るのは観光客とここで働く人ばかり」。道は清潔で、植え込みも手入れが行き届いている。
 広場中央の噴水前で記念写真を撮る一行に、民族衣装を着たインディオの母子が近づいてきた。ビニール袋一杯につめたガムを手に、か細い声で頼み込むように「1ドル、1ドル」と繰り返す。高い経済成長率を誇る一方、いまだ国民の3割は貧困にあえぐペルー。1ドル札を受け取って記念撮影に応じる彼らの表情は、どこかうつろだ。

高級住宅街の中に残るワカ・プヒヤナ

高級住宅街の中に残るワカ・プヒヤナ

 続いて訪れたのは新市街。旧市街から半時間ほど離れた海岸沿いにあり、高級住宅地、カジノ、高級ブティック、ホテル、レストランなどが密集する。
 高級住宅街のど真ん中に鎮座する遺跡「ワカ・プヒヤナ」(Huaca Pucllana)も見学した。雨が降らないため、日干し煉瓦でできた遺跡が今も温存されている。一方から見るとピラミッド型、もう一方から見ると台形で、平らになっている上部から墓や420人もの女性の遺体が見つかっている。「インカ帝国より古く、3世紀頃に作られたけど。当時は文字がないので記録が残っていません。30年以上調査されているけど、まだ謎のまま」という。
 リマ建設の折に幾つもの遺跡が取り壊されたが、同地には未だに375もの古代遺跡が眠っているといわれている。(つづく、児島阿佐美記者)