後から振り返れば、11日はコロニア民謡界にとって分岐点だったかもしれない。若手民謡グループ「民」の立上げ公演だ。2、30代の活躍を一目見ようと文協小講堂は満員になった。高齢化の印象が強かった民謡界に、未来がやって来たと思わせる光景だった。
「肝心の歌い手が少ない」等の課題があるにせよ、一歩を踏み出したという可能性を感じさせるイベントだった。「次は大講堂で」と期待する声もあるが、個人的には反対だ。
彼らの活動目的は、ブラジル社会への民謡普及を第一とすべきではないか。事実、メンバーも「次はブラジル人向けに」と意気込んでいる。であれば、文協を会場に限定する必要はなく、むしろブラジル人が足を運びやすい会場の方が望ましい。
ブラジル人向け公演を重ねて、いつかは文協に凱旋―。非日系を含めた多くの観衆で大講堂が埋まる日を待ち望む。(祐)