地理統計院(IBGE)が23日、9月の失業率が4・9%となり、同月としては統計開始以来の最低を記録したと発表したと24日付伯字紙各紙が報じた。
9月の失業率は8月の5%より若干減り、昨年同月の5・4%との比較では0・5%ポイント低下した。
だが、失業率低下は雇用者数増加を意味しておらず、フォーリャ紙は、9月の正式雇用者数は8月比0・2%減の2310万人となり、昨年同月比では0・4%(エスタード紙では0・8%)減と報じている。
では、雇用は減ったのに失業率も減ったのはなぜか。それは、経済的に不活性な人(Pnea)が増えたからだ。このグループは当面は仕事をする意思がなく、職を探していない人や、就職を諦めた人達を意味する。
9月のPneaは8月比で13万3千人(0・7%)、昨年同月比では3・7%(69万人)増えている。Pnea増加の背景には、高齢者の退職や、より高等な教育機関に進み、学業に専念する青年の増加といった要因もある。
ブラジルはまだ15~64歳の生産年齢人口が増えているが、家長の収入増加などでゆとりが生じ、若くして労働市場に加わる人は減少中。仕事もせず学校にも行かないネイン・ネインと呼ばれる青年の増加も懸念されるが、Pneaの90・64%は仕事を探していないとの数字からは、今年1~9月の失業率は4・8~5・1%という低率である原因が窺われる。
また、最近の景気不振は工業界や建設業界の雇用縮小という形で労働市場を圧迫。工業界の雇用者数は8月比で5万9千人、昨年同月比では23万8千人減っている。鉱業界の景気不振はサービス業界の雇用にも影響するため、労働市場の今後には不透明感も漂う。
雇用者数減少は、支払われた給与総額の伸び悩みも招く。給与の平均額は、8月の2065レアルとほぼ同じ2067レアルだ。昨年同月は2036レアルだから所得はほぼ横ばい状態で、インフレを加味した場合の購買力低下は否めない。
専門家達は「失業率低下は喜ばしい事だが、経済の現状は決して肯定的とはいえない」「今後は所得も減るはずだ」と評価。過剰在庫を抱える企業では、集団休暇や希望退職者募集、レイオフといった自動車業界なみの生産調整手段を講じる可能性も高い事や、所得の伸び悩みと購買力低下で家計が苦しくなればPneaの人々も再度求職し始めるのは必至である事などから、これからは求職者も増え、失業率が上昇すると予想している。