広島、長崎県が国の補助を受け、1985年から隔年で実施する「在外被爆者健康診断」の南米巡回が20日、サンパウロ市のサンタクルス病院を皮切りに始まった。今回で17回目。
両県の医師ら7人で組織する「在南米被爆者健康相談等事業派遣団」(豊田秀三団長=広島県医師会副会長)が、サンパウロ市(20、21日)、クリチーバ、リオデジャネイロ(23日)ベレン(27日)の4都市で約76人の被爆者に検診を行っている。
検診を受けた向井哲次さん(75、広島)は「日本語で相談出来るのはとてもありがたい」と感謝を述べた。
在外被爆者に対する保障の見直しは近年進展を見せ、去年から派遣団を伴わない健康診断が毎年実施されているほか、医療費助成の上限が17万円から30万円に引き上げられた。
ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長は支援の充実を喜びながらも、「健康診断を受けても、治療費が立て替えられず治療を受けられない人もいる。国内被爆者と同じく、すぐに治療を受けられる権利を得られるよう、これからも国に現状を訴えていきたい」と話した。