22日(水)、サンパウロ州アラサツーバで、チエテ川で釣りをしていた親子が乗った小舟が強風にあおられて起きた波に襲われ、あっという間に沈没。干ばつによる水位低下で川の中ほどに姿を現していた木の枝に捕まって夜を過ごし、九死に一生を得たという。
予期せぬ災難に遭ったのは、タカシ・ナカノさん(72)と妻のカズエ・タカス・ナカノさん(64)、息子のロベルト.ユキオ・ナガタさん(33)の3人だ。
ペレイラ・バレットで生まれ育ち、いつもチエテ川で水浴びをしていたというタカシさんは、父親との川釣りを楽しみにしていたが、バウルーで時計屋を開業。その後はサンパウロにも出てきた上、日本にも8年間行くなどして、35年間、川から遠ざかっていた。
現在は仕事も辞め、週3回はチエテ川での釣りを楽しむようになったタカシさんは、22日もいつものように、竿や餌、舟などを用意し、カズエさん、ロベルトさんと共に車で出かけた。
川に舟を浮かべ、談笑しながら釣りを楽しみ、帰宅後は釣った魚を刺身にして舌鼓を打つのが常だったという一家だが、この日ばかりは様子が違った。
いつものように午後6時頃に川に着き、救命胴着などを着用した後に舟を出したが、真夜中になり、強風が吹き始めた。あいにく、舟の舳先が岸に接していたため、大きな波に襲われた時、舟が立ち上がったような形になり、あっという間に沈没。救命胴着を着ていなかったロベルトさんも共に、干ばつで姿を現していた木の枝に捕まって夜を過ごす事になった。
ロベルトさんは、誰も眠ったりしないよう、両親に冗談を言ったりする傍ら、岸まで泳いでいこうとしたが、舟が沈んだ際、方向感覚がわからなくなった事と暗闇の中だという事もあってタカシさんはそれを制した。
タカシさんは明るくなるまで約10時間待ってから自分の救命胴着をロベルトさんに着せると、「足がつったらそこで止まって回復を待て。急ぐ必要はないぞ」と言い聞かせた上で救助を求めに行かせた。
岸までは約1キロで、ロベルトさんを送り出してから救助隊が着くまでは約1時間かかった。タカシさんの体は完全に冷え切っていたが、救命ボートに横たわって体を休ませた時、「ああ、俺はまだ生きているぞ」と考えたという。
そうそう、これだけの目にあったのにも関わらず、タカシさんはまた、水曜日には釣りに行く気でいるという。(25日付フォーリャ紙より)
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