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Sabesp総裁のジウマ・ペナ氏(Luiz Alberto Franca/Camara Municipal de Sao Paulo)
Sabesp総裁のジウマ・ペナ氏(Luiz Alberto Franca/Camara Municipal de Sao Paulo)

収まらぬサンパウロ州渇水の危機=責任の所在を巡って争う公社と州

 29日に約20の非政府団体(NGO)が発表する「サンパウロ州渇水危機への協定書」のなかで、13年10月~14年2月の5カ月間は降水量が平年比で著しく落ちたのに、サンパウロ州水道公社(Sabesp)が通常と同量の水を取水し続けた結果、カンタレイラ水系の貯水率は40・3%から16・4%に急落したという事実が明らかにされる。
 25~28日伯字各紙によると、同公社総裁のジウマ・ペナ氏は内部の会合で「上層部がサンパウロ州市民に節水するようメディアで呼びかける事を禁じた」と発言したが、州政府は逆に、「市民に対して水不足を警告する事を禁じてなどいない」「説明しなくてはならないのはSabespだ」と文章で発表している。
 そんな中、週末の雨もカンタレイラ水系の水位回復の助けにはならず、26日の貯水率は24日より0・4%低下し、〃未開の水域〃(ヴォルーメ・モルト)からの第2回目の取水分を含めて13・2%に落ち込んだ。サンパウロ州水道公社のサイトによると28日の水位は12・8%まで下がった。
 貯水率低下の要因は、雨が必要な場所に充分な量降らなかったことと、地表が乾いているため、雨が降ってもかなりの部分の雨水がダムに蓄えられる前に地面にしみ込んでしまう「スポンジ効果」が挙げられる。
 今後数日は気温の上昇が予想され、各水系に更に深刻な影響を与える可能性がある。水曜以降は大雨の可能性もあるが、それでも今の危機的状況の緩和には程遠い。
 カンタレイラ水系の貯水率を測る指数は24日から、第2回目の未開の水域からの取水を計算に入れている。実際にはまだ新しく許可された分の水は吸い上げられていないが、Sabespでは選挙直前に第2回目の取水分を含んだ貯水率を発表することとした。
 今年の5月に1回目の取水が行われた際は、ポンプによる取水が始まるまで、水量を貯水率に含めることはしなかった。
 2回目の取水を計算に入れない場合の28日現在のカンタレイラ水系の貯水率は2・1%で、これは記録がとられて以来最も低い数値となる。