日本は台風が通り過ぎ秋の訪れ。サンパウロはまだ朝晩冷えるが、昼の陽射しはもうすぐ訪れる本格的な夏を感じさせる。時は流れ、コロニアの世代交代も進むが、明るい未来を感じさせる10月の言葉から▼琉球民謡保存会の創立20周年。沖縄本部から「文化は先人から受け継ぐだけでなく〃預かりもの〃」とのメッセージが伝えられた。なるほどと膝を打ったが、まさに当地は、その通りの世界が展開されている。沖縄イベント、舞台への思いはどの世代も熱い▼「汎アマゾニア日伯協会55年史」が完成した。執筆したのは、長年事務局長を務めた堤剛太氏。「会長だけでなく活動に携わった多くの人の名を残す」ことに心を砕いた。ポ語版も編集中だ。現在筆を進めるアマゾニア日伯協会の50年史は、日ポ両語で刊行する。未来に歴史を―との思いは、いつか繋がる▼トメアスーに駐在するフルッタフルッタ社の林健佑さん。現地文協の理事も務める。アグロフォレストリーで、日本からも注目を集める同地だけに、日本との窓口になる存在だ。第1回移民、山田元さんのような語り部同様、重要な存在だろう▼あちこちで噂になっているのが、ブラジル初の讃岐うどん店「Meu Gohan」。三世の水本良夫さんが「日本の味を伝えたい」と始めた。日本を知るデカセギ世代の頑張りで、当地日本食がさらに豊かになってほしい▼若手民謡家による「グループ民」の立ち上げ。大盛況の会場を見渡し、実行委員長の海藤紀世さんは「次はブラジル人対象の公演を」と意気込む。コロニアの芸達者たちも草葉の陰で喜んでいることだろう。(剛)