サンパウロ州トレメンベー刑務所で9月、有名な殺人事件の受刑者が、同性愛結婚を果たしていたことがわかり大きな話題を呼んでいる。
話題の主はスザーネ・ヴォン・リシュトフェン受刑者(30)だ。同受刑者は恋愛に反対されたため、19歳になる直前の2002年10月31日、恋人とその兄弟に頼んで両親を殺させたとして当時のブラジルのメディアを賑わせた。彼女は38年6カ月(エスタード紙によれば39年6カ月)の実刑判決を受けている。
彼女が9月に結婚した相手は、同じ刑務所にいるサンドラ・レジーナ・ゴメス受刑者(31)だ。同受刑者は、2003年に3人の共犯者と共に14歳の少年を誘拐し、身代金を受け取ったが、その前に少年を殺害したとして逮捕された。それにより24年の実刑判決を受けたが、2011年には当時いたサンジョゼ・ドス・カンポスの刑務所で看守に暴行した罪で刑期が3カ月半延長されている。
スザーネ受刑者とサンドラ受刑者はトレンベーの刑務所内にある縫製工場で一緒に働くうちに、互いに好意を抱くようになっていった。
二人が書類上の結婚をしたのは9月。正式な結婚式は11月の予定で、サンドラ受刑者が男性の役を務める。同受刑者は刑務所内のイベントに男性のいでたちで参加して人気を博したことがあり、刑務所内では「サンドロン」と呼ばれている。
このサンドロン受刑者にはさらに話題性があった。同受刑者は、2012年にブラジルの日系食品メーカー、「ヨキ」の御曹司マルコス・キタノ・マツナガ氏をバラバラ殺害した妻のエリーゼ・マツナガ受刑者と恋人関係にあったことだ。
この事件も発生当時、ブラジルのメディアを賑わしたスキャンダルで、銃マニアのマルコス氏が妻にも銃を持たせたところ、皮肉にもその銃で自身の不倫に対する復讐をされたことも話題を呼んだ。
サンドロン受刑者がエリーゼ受刑者と別れたのはスザーネ受刑者に心を寄せはじめたためだとされている。スザーネ受刑者は今年、昼間の外出が許されるセミアベルトの資格ができたのに、他の刑務所に行くと暴行される可能性があるし、刑務所でえる賃金も必要だとし、外出の権利のないレジーメ・フェッシャードのままでトレメンベーの刑務所に残っていたいと異例の要請をした。
裁判官がこの要請を受け入れた後、スザーネ受刑者はサンドラ改めサンドロン受刑者と共に生活するために夫婦用の棟に移ることを希望し、9月のはじめに婚姻届代わりの書類に署名を行なった。夫婦用の棟には彼女たちのほかに8組のカップルがいるが、同性愛のカップルはこの二人だけだ。(28、29日付アゴラ紙ならびにフォーリャ紙、29日付エスタード紙より)