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県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(11・終り)=意外と小さい? ナスカの地上絵=動物の楽園を遊覧ツアー

バレスタス島ツアーで見学した地上絵のレプリカ

バレスタス島ツアーで見学した地上絵のレプリカ

 最終日は、ナスカの地上絵と動物の楽園「バレスタス諸島」ツアー。カニエテから更に南下し、ナスカ空港へと向かった。
 「酔いやすい人は、酔い止めを飲んでおくように! 食事は食べすぎないで」。バスの中で旅行社のケイコさんが念を押したが、カニエテ日系協会がせっかく準備した料理を前に我慢するのも憚られた。毎朝昼晩続くご馳走には腹をすかせる暇もないが、それでもモリモリ食べる参加者の食欲には驚かされた。
 ナスカ空港では、一機のセスナ機に12人ずつ乗り合わせて地上絵見学ツアーに出発した。シートベルトで体を固定し、離陸。座席のポケットにはちゃんと幾多郎袋(吐しゃ物入れ)が置いてあるので安心だ。
 しばらく荒野を飛ぶと、ペルー人のガイドが日本語で叫んだ。「ウチュウジン! ほら、右側にウチュウジン!」。機体がぐーんと右斜めに傾斜した。爆音と気圧で耳に水が詰まったようになるが、耳抜きしながら目を凝らすと、無数の直線の中にうっすら絵が見えてきた。大きいものは数百メートルあるというが、セスナ機から見えるそれは意外と小さい。
 「クジラ! 左にクジラ! 見えた?」「あーっはっはっは! おかしい」。ペルー人の愉快な日本語の解説に、日本人女性が爆笑した。日本人旅行客が多いのだろう。解説も手馴れたものである。
 砂漠の表面は暗色の礫岩で覆われているため、表面を削って下の白い砂地を露出させ、絵を浮かび上がらせている。ナスカ文化期の紀元前193年から紀元648年に描かれたといわれ、「天文学カレンダー説」「UFO用の標識」「豊穣の儀式説」など諸説が飛び交うが、誰がなぜ、どのようにして描いたのかは未だに謎という。
 翌日は首都リマから海岸線を250キロほどの地点にあるパラカスの町から船に乗り、バレスタス島を見学。荒波に削られた岩々からなる同島は、保護地域に指定されているパラカス国立公園内にあり、アシカ類やフンボルトペンギン、約200種もの海鳥などが生息するので〃小さなガラパゴス〃と呼ばれる。
 船で島の周囲を回り、島の表面を覆いつくす海鳥、海面付近で悠々と昼寝するアザラシ、海に飛び込むペンギンの姿を楽しんだ。全種類合わせて百万匹が生息している。
 南米最古の日系社会や古代遺跡のみならず、豊かな生態系を抱く同国の姿を覗き見た一日だった。
   ☆   ☆
 6日間のツアーを終え、一部は同国のマチュピチュへとツアーを続け、一部はブラジルへと帰国した。空港で一行を出迎えた旅行社の職員は、参加者の元気な姿に喜び安堵していた。高齢の参加が多いため、送り出す方は気が気ではないようだが、今回も全員無事に帰国した。
 朝永明人さん(77、長崎)=ロンドリーナ在住=は「ペルーは気候風土が厳しく皆が苦労しているから、三世も先代の苦労を知っている。世代交代がしっかりしている所がえらいよ。ブラジルの日系社会も見習わないと。孫に話す土産が出来た」と収穫を喜んだ。(終わり、児島阿佐美記者)