ジウマ大統領(労働者党・PT)の再選から2日後の下院が、政治改革のための国民投票を可能とするために5月に出た大統領令を無効とする内容の議会決議プロジェクト(PDL)を可決した。この法案は上院でも通過する見込みで、連邦政府はテメル副大統領をたて、下院での民主運動党(PMDB)の反乱勢力を抑えるための対策に乗り出した。10月29~31日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領が再選を果たした2日後の10月28日、下院本会議が野党側の民主党(DEM)リーダー、メンドンサ・フィーリョ氏が提出したPDLを可決した。
このPDLは、社会参加国家政策(PNPS)と社会参加国家システム(SNPS)を設定するために5月に出た大統領令を無効にする内容で、午後7時から審議がはじまった。
PTはブラジル共産党(PCdoB)や社会主義自由党(PSOL)と組んで、同法案の審議を止めようとしたが、PMDBの下院リーダー、エドゥアルド・クーニャ氏を筆頭とした同党議員や進歩党(PP)、共和党(PR)といった連立与党内の反乱分子と野党議員によって可決された。
国民投票のための大統領令は、5月末に発表されたときから、議会内で強い反発を招いていた。議員たちは、「国の諸機関を利用して国民の声を問う政策とシステムが設定されれば、政治改革案決定の際も議会以上に重要視されかねず、国民に選ばれた議員の立場をないがしろにしてしまう」と反対していた。
メンドンサ下議提出のPDLは上院でも審議されるが、レナン・カリェイロス上院議長は29日に上院も同法案可決の見込みだと明かした。
ジウマ大統領と政府下院リーダー、エンリケ・フォンタナ氏は、国民投票後に必要な組織を作る方法(Plebiscito)ではなく、PMDBも支持する、組織を作ってから国民に提案を行なう方法(Referendo)採用に軌道修正を図る予定だ。
上下両院での動きを受け、連邦政府は10月30日にPMDBの下院での反乱を抑制するべく対策に乗り出した。まず、アロイージオ・メルカダンテ官房長官(PT)はエンリケ・アウヴェス下院議長と面談を行ない、下院がこの後に審議を行なおうとしている法案に懸念を示した。それは、議員割り上げ金の全額支出など、連邦政府の財政を圧迫しかねない法案が含まれていたからだ。
他方、アウヴェス議長は現在、PTに対して強い不満を抱いている状態だ。同氏は先日の統一選挙で北大河州の知事に立候補していたが、ルーラ前大統領が対抗馬のロビンソン・ファリア氏(社会民主党・PSD)を応援したせいで自身が落選したと思っている。
ミシェル・テメル副大統領も、5日に副大統領官邸にPMDBの連邦議員と当選者、知事たちを集め「政治倫理委員会」なる会議を行なう。これは実質上、来年度の下院議長選へのクーニャ下議の立候補を辞めさせることを目的としている。
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