労働者党(PT)のジウマ・ルセフ大統領は、再選後初の演説の中で「選挙民からのメッセージを重く受け止めた」と述べた。決選投票での対立候補、民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス候補との差は得票数にして347万票、得票率では3・28%ポイントと僅かなものだった。
ジウマ大統領は再選後の演説の中で「今回の選挙戦でもっとも多く繰り返された言葉は『変化』で、もっとも強調されたテーマは『改革』でした。私は国民の必要とする改革を成し遂げるために再選された事をはっきりと認識しています」と述べ、「今回の選挙戦で国が分裂したとは思っていません。選挙中は確かにそれぞれの考え、感情がぶつかり合いましたが、求めるところは一つ、ブラジルのより良い未来です」と続けた。
決戦投票でアエシオ・ネーヴェス候補を支持した社会党(PSB)の大田慶子連邦下議は、「今回の選挙戦は私が今までに経験した中で一番民主的なものでした。ジウマ大統領が史上最小の僅差で勝利したことは、ブラジルの国民にとって重要です。勝ったジウマ大統領も全く安心できません。必ず彼女はこれまでと違った政権運営をしていくでしょう」と言う。
「アエシオ・ネーヴェス候補に投票した人は変革をのぞんでおり、また現政権下での諸々の事象がなぜ起きているのかを知りたがっています。ジウマ大統領はより強固な、しかし同時に対抗勢力に配慮し、連帯関係のある政権運営をしていかなくてはいけません。彼女自身がそのような変化を望んでいるとはっきり表明しました」と同下議は続け、「今回の結果はジウマ大統領に政権運営の転換を迫る効果がありました」とも述べた。
今月には日系企業家達と日本に行くというパラナ州選出、共和党(PR)の西森ルイス下議は「今回の選挙結果は現政権への警鐘の役割を果たし、政権運営改善のための内省を促すものだ。ジウマ大統領は自身の誤りを認識したはずだから、より良いブラジルを築いていくために正すべきところは正していくだろう」と言う。さらに「新政権の一番の課題は必要な改革を進め、経済面での信用を回復する事だ」と強調し、「政治改革にも賛成だし、選挙制度改革も推し進めていかねばならない」と結んだ。
3期連続当選のサンパウロ州連邦下議、社会民主党(PSD)の飯星ワルテル氏は、アエシオ氏の支持者達が失望感を味わっている事を認めつつ、「ブラジルは普通の暮らしに戻るべきだ」と言う。「非常に僅差での勝利は国民の分断が起きた事を意味する。『継続』を求める声と『変革』を求める声がはっきり分かれたが、最終的には新興中産階級が『継続』を選択した。ジウマ大統領は自身の約束した変革の道を新政権発足初日から歩む必要がある」と述べた。
同氏は、新政権がブラジルの更なる成長のために経済界に透明性と安全性をもたらし、国際投資を呼び戻す事に期待している。政治改革については「ジウマ大統領自身がその過程を気にしている」と発言し、下院での社会民主党は来年以降、独立的な立場を離れ、政権側につく事も示唆した。
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