公的部門の収入と支出のバランスである基礎的収支の赤字が続き、9月には今年累積の収支も赤字に転じたと1日付伯字紙が報じた。
基礎的収支の黒字は国債などの利子の支払いに使われるため、基礎的収支が赤字になれば国の財政全体が赤字になる事は避けられない。年間累積の基礎的収支が赤字に転じたのは、レアルプランが導入された1996年以来、初めてだ。
現政権での基礎的収支の黒字目標は国内総生産(GDP)の3・1%で始まったが、12年の達成額が2・4%と目標を割り込んだため、13年は2・3%に縮小。同年の達成額が1・9%だった後、今年の目標は1・9%に引き下げられた。
9月の基礎的収支赤字額は、国庫と中央銀行、社会福祉関係費などを含む中央政府関係だけで204億レアル。中央の累積収支額は157億レの赤字で、利子支払分のために必要とされる808億レの確保は困難だ。
州や市の基礎的収支を含む9月の赤字総額は255億レで、今年の累積は152億レの赤字。こちらも目標の990億レアルには及ばない。
今年の基礎的収支は1~4月に199億レ、21億レ、36億レ、169億レの黒字記録後は、110億レ、21億レ、47億レ、145億レ、255億レの赤字だ。
9月の赤字額急増は、収支バランス悪化という印象を与えるのを避けるための経費の支払先延ばしなどのカモフラージュを止めたからだ。
国庫から連邦貯蓄銀行への社会保障関係費支払用の資金送金の遅れなどはカモフラージュの一例で、連邦検察庁や会計検査院なども捜査に乗り出していた。カモフラージュ停止で、9月からはブラジル銀行や貯蓄銀行が肩代わりしていた資金も支払われ始めた。
専門家によると、基礎的収支悪化の2大要因は、景気後退(リセッション)などに伴う税収減と、景気刺激や雇用創出のための公的投資や公的支出が増えた事だ。
中央政府関係の支出では、経済活性化計画(PAC)絡みの478億レ始め、教育257億レ、保健衛生182億レ、労働者支援関係149億レ、高齢者や障害者支援115億レアルなどが目立つ。財務省関係者は、税収は充分ではないが、経済の停滞を避ける意味での公共投資や公的支出は続けるとの意向を強調している。
今年のGDPの成長率は限りなく0%に近いといわれ、景気刺激のための投資や支出という考え方を擁護する意見もあるが、このようなサイクルが続けば、公的な負債拡大、消費促進、物価上昇という悪循環を断ち切る事は難しい。基礎的収支の落込み後、連邦政府は来年度の基礎的収支目標の見直しか大幅な経費削減を迫られている。
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