一番人気というクレープを試食し、思わずうなった。リベルダーデの東洋会館(ACAL)で毎週日曜、そんなプロ級の手作りスイーツ(菓子)をこっそり売っているのは、ブラジル人と結婚して98年に渡伯した元会計士の桜井淳子さんだ。「子供の頃から作るのが好きで、本やインターネットで調べて覚えた」というその腕前は只者ではない。
さぞ本人も好きなのだろうと思いきや、桜井さんは「自分はあまり甘いものは食べない」とか。「美味しいって言ってもらえると満足」とイチゴ大福、シュークリーム、ティラミス、桜餅、アイスクリームと日本の定番和洋スイーツに加え、「マラクジャ餅」など意外性のあるブラジル風和菓子まで作る。
砂糖の量はブラジルのお菓子の半分以下と体に優しく、全商品1・5~3・5レアルと格安でもある。レストランから仕入れの依頼が来たり「店を開いたら」と勧められたりもするが、「量産すると味がいい加減になるし、愛情が込められない。こじんまりがいい」と手は広げない。甘味だが、どこかストイック(求道的)。宣伝もしないので、知る人ぞ知る穴場的スポットだ。
午前11時に開館すると老若男女の客が群がった。「美味しい!」という感激の声を聞き、「お客さんの反応を見たり会話をしたりする、それが楽しいの」と微笑んだ。
注文も受け付ける。問い合わせは桜井さん(11・98695・4082)まで。(阿)