進出ゼネコン企業ではブラジル唯一、当地で42年の歴史を持つ「ブラジル戸田建設株式会社」の三上悟代表取締役(60、秋田)が、3年半の任期を終え退任し、奥地正敏さん(55、愛媛)が後任に就任した。
三上さんは2011年3月、東日本大震災の直後に当地に赴任した。現在手がける大型物件は、サンパウロ州イチラピーナ市のホンダ第2工場。「敷地面積は14万6千平米で普通の建築物50個分と、日本でもやってないような規模の仕事」と語る。
「来年3月には完工予定。全て工程通り」という秘訣を尋ねると、「えらいのは僕じゃなくてブラジル人の責任者。会社が働きやすい雰囲気なので、ブラジル人従業員の勤続年数がすごく長い」と笑顔を見せた。
帰国後の勤務地は未定だが、「個人的には被災者に対する支援をしたいと思っている」と明かした。
奥地さんは8月に赴任、副社長を経て社長に就任した。ブラジルの印象については「日系の基盤があるので、日本人には働きやすいのでは」と語り、「日本からの進出企業のために、これからも貢献したい」と抱負を述べた。
同社はこれまでにブラジル内で850件以上、総施工延床面積にして260万平方米を超える施設を建設した。サンパウロ州内の建築主体施工会社ランキングでは10位を誇る。ヤクルト・ロレーナ工場、デンソーの南米テクニカルセンターなど日系企業の物件を多数手がける。
11日にフォーラム開催
ブラジル戸田建設では11日午後1時半からパラナ・カトリック大学(PUCPR)トゥッカ劇場(Rua Imaculada Conceicaao, 1155, Prado Velho)で、「知的プロジェクト」(Projetos Inteligentes)と題した建築フォーラムを行う。
第一部は、寺など宗教建築や文化遺産の修復を手がける米国のサエイド・サマディ、ブラジルの建築家エド・ロッシャ両氏が技術と設計について講演。第二部は「建築における持続可能性」をテーマにジャイメ・レルネル(都市計画家、パラナ州元知事)、隈研吾(東京大学教授)、樋口正一郎(戸田建設環境事業推進室長)の3氏による講演会と討論会が開かれる。
なお、隈氏は翌12日午後2時半からサンパウロ総合大学建築科アリオスト・ミラ講堂(Rua do Lago, 876, Butanta)でも講演会を行う。
フォーラムの申込みはサイト(www.fleep.art.br/clientes/toda/)から。