地理統計院(IBGE)が8日、今年の国内消費は前年比1・7%の伸びで終わりそうだと発表したと9日付エスタード紙が報じた。
ブラジルの国内消費は03年に0・8%のマイナス成長を記録したものの、04年以降は年平均4・6%伸びており、08年に勃発した国際的な金融危機などをいち早く切り抜ける鍵ともなった。MBアソシアードス主任会計士のセルジオ・ヴァーレ氏によれば、国内消費は11年以降の国内総生産(GDP)の伸びを支えてきた最大要因で、その比率は96%に及ぶ。
だが、国内消費は11年以降、10年の6・9%(同年GDPは7・5%成長)を境に低下しており、11年4・1%(GDPは2・7%)、12年3・2%(同1・0%)、13年2・6%(同2・5%)。今年の予想は1・7%となっている(GDPの成長予想は0・5%)。
今年の国内消費の落込みは、景気減速が景気後退(リセッション)にまで進み、ブラジル経済の推進役でもあった自動車業界でも解雇や自主退職の募集などの動きがある事とも密接な関係がある。
連邦政府は失業率低下を肯定的なデータとしてアピールしているが、最近の雇用は比較的給与が低い業界を中心としたもので、消費者の購買力の向上は余り期待できないし、負債を抱える消費者の増加は、融資利用の伸び悩みも招く。
企業家や消費者の信頼感指数はここ数カ月間、低下が続いており、サンパウロ州で10月に行われた調査によれば、今後3カ月はいかなる種類の融資も利用しないと答えた消費者が87・1%いた。
同様の傾向は全国レベルの調査でも見られ、75%の消費者が現在以上に節約する意向と回答。15年は融資を利用する意思はないという人も61%いた。別の調査では13カ月給は負債返済にと考えている人が68%おり、ナタールの買い物は昨年より小額でという消費者も33%いる。
市場関係者の大半は、経済基本金利引き上げや高インフレ、銀行も融資枠縮小との見込みから国内消費は15年も低調と予測。イタウ・ウニバンコのカイオ・メガレ氏は、今年の国内消費の伸びは1・1%、来年も0・5%と見ている。
他方、年末時点の基礎的財政収支の黒字確保が困難との見方もある中、ギド・マンテガ財相が7日、ジウマ政権では来期の公共支出や社会経済開発銀行(BNDES)などへの補助金などを思い切って削減する意向である事を明らかにした。
公共支出や補助金の削減は来年度の基礎的収支の黒字確保を目的とするものだ。同財相は今期限りで退任するため、G20首脳会議後とされる新財相の発表前に次期政権の経済政策について言及した意図は不明だ。
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