ブラジルで最も有名なテレビ司会者で長者番付上位常連者でもあるシルヴィオ・サントス(84)が、テレビ番組放送中に黒人への差別にあたるのではと思われかねない発言を行ない、物議を醸した。
シルヴィオ・サントスと言えば、ブラジルのテレビ草創期から活躍する司会者の第一人者で、1981年にはテレビ局STB局のオーナーになり、現在も同局で会長をつとめながら、自身のレギュラー番組で毎週司会を続けている。同局は視聴率でブラジル国内2位まで成長し、シルヴィオ自身もブラジルで5本の指に入る大富豪だ。
そんな大きな影響力を誇るシルヴィオが8日、失言とも取れる発言を行なった。それは同局が行なったチャリティのための特別番組「テレトン」でのことだった。
この番組には同局の人気番組の出演者がゲスト出演していたが、その中にジュリア・オリヴェルちゃん(11)がいた。ジュリアちゃんは同局の人気子供番組「チキチータス」で小学校の仲良し女の子グループの1人を演じる、黒人の人気子役女優だ。
シルヴィオは、「チキチータス」出演の子役たちにインタビューを行なった際、ジュリアちゃんに「大きくなったら何になりたいの?」と尋ねた。それに対し、ジュリアちゃんが「歌手か女優になりたい」と答えたところ、シルヴィオが「でも、その髪型のままでかい?」と聞き返し、ジュリアちゃんは言葉につまってしまった。
番組終了後、ジュリアちゃんは自身のツイッターに「ブラジルのようないろんな人種のいる国でああいう発言をされるのは悲しい」と書き、さらに「今まで誰からもあんな風に私の個性を変えかねないような発言をされたことはなかった。個性は髪型よりも大事だ」と続けた。
これらのツィッターを読んだファンの間からは「いくらシルヴィオ・サントスがテレビ世界の大物だからと言っても、これは謝るべきだ」との声が多く寄せられた。
ジュリアちゃんはロングのカーリー・ヘアで知られ、それで視聴者に認識されているところもあった。この日も前髪を髪留めで上げ、後ろは肩越しにかけてふわっと膨らむような感じにしていた。80歳を超すシルヴィオの感覚からすればワイルドな感じに映る髪形だったのかもしれないが、しっかりセットされたもので、こういう髪型の黒人の女優も女性歌手も珍しくはない。
ブラジルではサッカーの試合中に黒人選手を猿の鳴きまねでからかったりするなど、黒人への差別が社会問題化していた矢先の出来事だが、この件に関して、シルヴィオからのコメントはまだない。(10日付Veja誌サイトより)