2004年頃からと思われるペトロブラス(PB)の贈収賄疑惑は「ペトロロン」と称されるようになっているが、PB疑惑の一部として、オランダの多国籍企業SBMオフショア社が同国検察庁に「ブラジルでの贈賄行為」を行なった事実を認めていたことが発覚した。これを受け、国庫庁(CGU)は12日、PB職員と元職員ら6人とSBMに対する捜査を開始した。13日付伯字紙が報じている。
オランダ検察庁によると、SBMはブラジル、赤道ギニア、アンゴラの3カ国で行った贈賄行為で、合計2億4千万米ドルの罰金を支払うことに合意した。この合意は、3国での贈賄行為が裁判沙汰になるのを避けるための交換条件だった。
SBMに対する同国検察庁の捜査は12年から行なわれており、報告書によると、SBMは「ブラジルの仲介業者を通して巨額の賄賂を払っていた」事実を認めたという。
巨額の賄賂支払いの事実を認める書類や関与した人物などは特定されていないが、オランダ検察庁は「ブラジルで事業契約を結んだ企業は外注サービス企業を介し、SBMからの賄賂をブラジル連邦政府の企業の職員にも流していた」としている。
SBMは2月に、今年に入って開始した内部調査では賄賂を贈っていたことを示す証拠や書類は見つからなかったと発表していた。
だが、4月になって、2007~11年にブラジルの仲介業者に1億3900万米ドルを支払ったが、ブラジルの公務員が賄賂を受け取ったことを示す証拠は見つからなかったと発表していた。
一方、13年10月にSBMの「元職員」と称する人物が、同社が2006~11年にPBに贈賄を行なっていたことと、贈収賄の仲介役はブラジル人コンサルタントのジュリオ・ファエルマン氏であることをネットで暴露していたことも判明した。総額1億3900万米ドルの贈賄が行われたとの情報を受け、今年2月にPBでも内部調査が行われたが、3月に収賄を示す資料は一切出てこなかったと発表した。
これに対しCGUは4月、収賄が行われていた可能性は非常に強いとの見解を発表。オランダ検察庁の発表を受け、PB職員と元職員ら6人とSBMに対し、移動式の石油プラットフォームの建設やリース契約で贈収賄の事実がなかったかを捜査し始めた。CGUによると、SBMの贈賄行為が明らかになれば同社はPBとの契約更新ができなくなるが、同社からはPBとの事業継続のために捜査に協力するとの申し出があったという。
オランダ当局やCGUは疑惑の人物の名を明らかにしていないが、13年10月に仲介役として暴露されたジュリオ・ファエルマン氏は1968年までペトロブラスの職員で、それ以降、米国で働いた後に94年から石油部門のコンサルタントとなっていた。
また、SBM元職員が名前を挙げ、SBMの内部調査でもファエルマン氏が頻繁に連絡を取っていたとされるPB役員は資源部部長のジョゼ・フィゲイレド氏と元サービス部部長のレナト・ドゥケ氏の二人だ。
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