ホーム | 日系社会ニュース | マルシアが日系社会にエール=ブラジルテーマの歌劇、来年上演=「日本人の魂を次世代に」
「夢を諦めないで」と後輩を応援するマルシアさん(コクエラふるさと祭りで)
「夢を諦めないで」と後輩を応援するマルシアさん(コクエラふるさと祭りで)

マルシアが日系社会にエール=ブラジルテーマの歌劇、来年上演=「日本人の魂を次世代に」

 「いま歌っているの、私の親友の子どもなんです」―そう言いながらステージのコロニア歌手に温かい視線を送るのは、モジ・ダス・クルゼス市出身で日本の芸能界で26年間も活躍するマルシアさんだ。仕事の関係で来伯したついでに、母芳子さん(二世)や友人らが8日のコクエラふるさと祭りで歌うのを応援にきた折り、日系人やコロニアに対する想いなどを尋ねた。
 本名は西家一枝マルシア、45歳の三世だ。モジ・ダス・クルゼス市生まれ。祖父は静岡県沼津市出身の西家佐登里さんで、柿やポンカンなどの果樹を栽培していた。祖母たかさんが美空ひばりの大ファンだったことから、その本名・加藤和枝にちなんで、彼女の日本名を付けたという。
 多くの日系歌手が日本の芸能界を目指したが、最も成功したのは文句なしにマルシアさんだ。その秘訣を問うと「たまたまです。いろんな人に助けてもらって今があると思います」と謙遜した。
 訪日当初、最も苦労した点を問うと「私は最低限の言葉しかできないで日本へ行きましたから、日本語では苦労しました」と振りかえる。「私たち(日系人)は日本人にはなりきれない。でも、日本人の心を理解する魂は持っている」。
 「今年で日本に行って29年、デビューして26年目です。昨年、凱旋公演をさせてもらいましたが、今はブラジルに恩返しをしたい気持で一杯です。これからは一年に一遍は帰ってきたい」との思いをのべた。
 マルシアさんの公式サイトには、日伯外交樹立120周年である来年5月からミュージカル「GARANTIDO ブラジルの風は僕らに絆を取り戻してくれた」(企画・制作=TSミニュージカル・ファンデーション、演出・振付=謝珠栄)に出演することが決定し、東京芸術劇場や兵庫県立芸術文化センターの2カ所で公演すると公表されている。120周年で「ジャポネーズ・ガランチード(信用できる日本人)」をテーマにするなら、日系役は主役クラスかも。
 ふるさと祭りに関して「日本の文化を大事にしていることがすごく伝わってくる祭りですね。コミュニティの絆がしっかりとあって、その中に私もいる。この温かい想いを日本にもって帰り、紹介します。日系人の皆さんは、今までどおり、日本人の魂を次世代に受け継ぐようにがんばってほしいですね」としみじみ語った。
 今も続々と日本を目指す後輩歌手に対し、「夢を諦めないで。何があっても必ず叶うと、自分を信じてほしい」とエールを送った。