ドゥンガ監督が7月に再就任して以来、ここまで親善試合で無失点のまま5連勝と快進撃を続けるセレソン。だが、その影で、その波に乗れない男もいた。それが前主将、チアゴ・シウヴァ(PSG)だ。
6~7月のサッカーW杯で主将としてチームを牽引したチアゴ・シウヴァだが、8月に行なわれたフランス・リーグの試合で右足を負傷したことで9月、10月のセレソン召集を逃した。そしてその間に、キャプテン章もまだ22歳のネイマールの手に渡った。
チアゴは11月の親善試合でようやく召集を受けたが、その間に活躍したミランダ(アトレチコ・マドリッド)にセンターバックの守備位置を取られ、12日の対トルコ戦はベンチを温めた。
これまで「世界最高クラスのセンターバック」と呼ばれ続け、伝統あるセレソンの主将までつとめたチアゴには、今自分が置かれている立場は面白くなかった。そんな彼は16日、遠征先のオーストリアで、現在の心境を語ったが、その際にドゥンガ監督や同僚への批判が流れ出た。
チアゴは今の気分を「つまんないよね」と語り、「自分が持っていたものを失ったんだよ。なのに、誰も僕にそのことについて話をしに来てくれないんだから」と不満を語った。
そして現在レギュラーから外れていることについて「これがいつまで続くか僕にはわからないよ。見る人の判断次第じゃないかな」とドゥンガ氏へのあてつけとも言える発言を行なった。チアゴはさらにドゥンガ監督の全体練習に対し「狂ったように走らせるだけ。同じ走るにしても、ゆっくりの場合も、全速力の場合もあるのにさ」と語った。
そして、この発言がマスコミに流れた翌17日、チアゴは自身の発言に関し「マスコミの曲解だ。(現主将の)ネイマールとの仲が危ういなんてことはないよ」と慌てて否定した。それに対しネイマールも「誰だってベンチで出番がなければ落ち込むさ」と問題のないことを強調したが、「監督の意思は尊重するべきだ」とも語った。2人は16日の夜に話し合いを行っている。
一方、ドゥンガ監督も17日、チアゴの発言に関し、「セレソンにはドノ(主人)の席などない。召集された選手の中にヒエラルキーなどない」としてセレソン内の民主主義を説いた。チアゴはドゥンガ氏とも同日朝、話し合いの時を持っている。チアゴとドゥンガ氏に関しては、ドゥンガ氏が監督に就任する際、W杯の16強の対チリ戦のPK戦の際に選手の輪に入れないほど緊張し、人目を気にせず涙を流す姿が見られたことで、男気の強いドゥンガ氏との相性を危惧する声もあった。
この一件で、かつての主将が新生セレソンの波についていけるか否か。注目されるところだ。(17日付Veja誌サイト、同グローボ紙サイトより)
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