サンパウロ市では冬もデング熱=暑くて乾燥した状態反映=世界的にも最も暑い年
サンパウロ市保健局が20日、今年の冬(第26週~38週)はデング熱患者が705人発生し、昨年同期比で840%増えた事と、11月1日現在の患者数は昨年1年間の患者の10倍に上る事を発表したと21日付エスタード紙が報じた。
冬は例年、デング熱感染が下火となり、昨年も75人の感染が確認されたのみだったが、今年の第26週~38週(6月22日~9月20日)は705人の患者の発生を見た。また、11月1日現在の患者の総数は2万7721人で、昨年1年間の患者数2617人の10倍を超えている。
サンパウロ市保健局によると、サンパウロ市では9月21日~11月15日(第39週~46週)も36人の感染が確認されている。サンパウロ州では、1~10月に18万6389人の患者の発生が確認されている。
エドムンド・ヴァスコンセロス病院の感染医アルトゥール・チメルマン氏は、感染が下火となる時期の感染拡大は今年の冬が例年より暑い事が原因で、「この冬は暑くて雨が少ないが、サンパウロ市は基本的な衛生設備が整っておらず、ゴミの回収のあり方にも問題があるため、雨さえ降れば冬でもデング熱が発生する条件が満たされてしまう」と言う。蚊の卵は悪条件下でも1年半程生き延び、充分な気温と雨があれば孵化する上、4種のウイルス全てに抗体を持っている人は皆無だ。
サンパウロ連邦大学のパウロ・オウゾン教授も、植物の水受けに水が溜まった状態にしないといった注意事項は冬の間も守らねばと言う。
今年が暑い事は、20日のアメリカ海洋大気庁(NOAA)の発表でも確認されている。それによると、今年の1~10月の地球上の平均温度は14・78度で、20世紀の平均の14・1度より0・68度高い。
同庁が発表する温度は大気温と海水温を統合したもので、10月の平均温度14・74度は、2003年10月に記録された、10月としては最も高い平均温度の14・01度を超えた。10月の平均温度は1976年を最後に38回、前世紀の10月の平均温度を上回る状態が続いている。当該月の月間平均温度が1880年の観測開始以来最高となったのはこの半年間で5度目(例外は7月のみ)で、今年は観測史上最も暑い年となる可能性大だ。
ちなみに、10月の世界の大気温は平均10・35度で、前世紀の平均の9・3度を1・05度上回った。平均気温が前世紀の平均以上となったのは中央アジア以外の全地域で、南米の大部分と米国西海岸、ロシア極東部などの気温上昇が顕著だという。また、同月の海水温の平均は16・52度で、前世紀の15・9度を0・62度上回った。海水温は6カ月連続で過去最高を更新中だ。