クラックと呼ばれる違法薬物を求める群集が48のバラック小屋の周りに集っている。ここはサンパウロ市中央部クラコランジアにあるミニ・ファヴェーラだ。同地域では市、州の福祉政策にも関わらず、常習者が増え、現状がなかなか改善されない模様を20日付フォーリャ紙が報じている。
この人だかりは、フェルナンド・ハダジサンパウロ市長(労働者党・PT)もほぼ任期半ばにして、同地域への薬物依存者の流入を止められていないことの現われでもある。14年1月に発表された、麻薬中毒者に住居と食事、日当15レアルの職を与える更正プログラム「ブラッソス・アベルトス」では、513人が登録され、23人が就職。現在も122人の薬物依存者が治療を受けている。だが、それにも関わらず、常習者、密売人の数は減る様子を見せない。
ファヴェーラに集まる麻薬常習者のわめき声と排泄物の悪臭は近隣の建物まで届き、治安も悪いために、住民たちは外出もままならない状態に置かれている。
ハダジサンパウロ市長は最近の会見で、警察官の不足がクラコランジアの中毒患者数増大の原因だと言ったが、サンパウロ州保安局は、現場の警官の数は減っていないとしている。
一方、ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)も2013年1月に薬物依存者更生プログラムを提唱し、それ以降、6368人を飲酒喫煙麻薬対策センターに収容してきた。また、今年導入したプログラム「レコメッソ」でも既に、薬物依存者約2万人に対応している。
市内のパトロールを統括する軍警のグラウコ・カルバーリョ氏は、クラコランジアでは112人の軍警が勤務しており、同エリア専任の軍警以外にも、車やオートバイでの巡回を毎日行っているとした。クラコランジアでは今年1月から今月18日の間に、麻薬取引、窃盗、強盗の容疑で246名が逮捕されている。