ギド・マンテガ氏の後任となる財務相の発表は21日に予定されていたが、急遽延期となった。ジウマ大統領は後任に国庫庁元長官のジョアキン・レヴィ氏を選んだが、不振だった経済統計の発表後に公表したかったことと、労働者党(PT)内から同氏に対する懸念の声があがったことが理由だ。22、23日付伯字紙が報じている。
マンテガ氏の後任人事はかねてから難航していた。ジウマ大統領自身は当初、ブラデスコ銀行頭取のルイス・カルロス・トラブッコ氏を希望し、先週初頭に会合も行なった。だが、トラブッコ氏は、同銀行経営審議会議長のラザロ・ブランドン氏との間に交わした、同氏の後任になるとの約束を優先して断った。
そこでジウマ氏は、第1期ルーラ政権(2003~06年)で国庫庁長官をつとめたレヴィ氏に白羽の矢を立てた。同大統領は、当初ルーラ前大統領が財務相に望んでいたブラジル銀行元経営審議会議長審理委員長のネルソン・バルボーザ氏を企画相に据えた上で、中央銀行総裁のアレッシャンドレ・トンビニ氏を続投させ、この3人で第2期ジウマ政権の経済体制を固めたい意向だ。
レヴィ氏の財務相就任発表は21日に行なわれる予定で、報道陣も記者会見を行なう旨を伝えられてその瞬間を待っていた。だが夕方になり、発表が急遽延期された。
延期の背景には、10月の基礎収支や第3四半期の国内総生産(GCP)の発表など、連邦政府にとって都合の悪い数字が今週発表されることなどがあった。次期政権の経済スタッフの発表早々、現政権の振るわない数字を発表させるのを避けたかった格好だ。
だが、その一方で、レヴィ氏の財務相就任に対し、PT内から強い反発の声があがっていたのも事実だ。レヴィ氏選出はルーラ氏やトラブッコ氏からも好意的な反応を得ており、21日のサンパウロ証券取引所(Bovespa)の指標も「レヴィ氏就任」との声で5%上昇。ドル高も2%緩和されるなど、市場の反応も上々だった。
だが、PTからはレヴィ氏選出に難色を示す声が目立っている。それは同氏が国庫庁長官だった時代、「ハサミを持つジョアキン」とあだ名がつくほど支出切り詰めを行ない、収支バランスのあり方に厳しい人物として知られているためだ。また、反対者の1人とされるアロイージオ・メルカダンテ官房長官は、レヴィ氏をルーラ政権の国庫庁長官に推したのが、大統領選で決選投票を戦った民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス氏が財務相に希望していたアルミニオ・フラガ氏であったことを好ましく思っていない。
連邦政府は現在、14年の基礎収支が赤字とならないよう画策しているが、インフレやドル高が進み、第1期ジウマ政権ではずっと低調だった国内総生産(GDP)もゼロ成長に近くなると予想されている。市場の信頼を回復し、冷え込んでいる投資を活性化させる意味でも、新政権の経済スタッフには国内外から高い注目が集まっている。
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