サンパウロ市北部と西部環状線22キロ付近(オザスコ市内)で25日午後、メンバーの殺害と逮捕に抗議する犯罪者による暴力行為が起き、バスやトラックなどが焼き討ちされた上、死者も出たと26日付伯字紙が報じた。
サンパウロ市北部での暴力行為は、23日に起きた州都第一コマンド(PCC)のメンバー殺害に対する報復行為とされ、外出禁止令が出た上、カランジルー区のザキ・ナルシー大通りでバスと乗用車が焼き討ちに遭った。
事件の発端は、ジョージ・ヴィエイラ・ポンシカノ(通称JJ、39)と呼ばれるPCCのメンバーがヴィラ・メデイロスのピツァリアで射殺された事だ。PCCが報復行為に出るとのメッセージは携帯電話への音声情報などで流れ、警察が発信源などを調べている。一説では軍警が外出を避けるよう呼びかけたとされ、警察車両も頻繁に付近を巡回した。
周辺地区では自転車に乗った若者が店を閉めるよう触れ回ったとの目撃証言もあり、商店は午後2時頃からシャッターを閉め始めた。パルケ・エドゥやジャルジン・ブラジルなどの目抜き通りも夕刻は交通が途絶え、通勤などのためにバス停にいた人達もバスが来ないために諦めて帰宅。学校も早めに授業を切り上げた。市北部ではバスなどの焼き討ちは起きたが、死傷者は出なかった。
他方、オザスコでの暴力行為は麻薬密売者の逮捕(強姦犯との報道もあり)が原因とされ、午後4時半頃、環状線に乗り込んだ人々が走行中のバンを止めて車線をふさいだ上、タイヤなどでバリケードを築いた。走ってきた車は皆停められ、バリケード用のタイヤとトラックやレッカー車などに火が放たれた。現場では、前方で何が起きているのかを確かめようとしてトラックから降りた運転助手で44歳の男性が撥ねられて死亡。トラック同士の接触事故も起きたという。一連の行為で環状線は、車線により2時間半~3時間半、交通が阻害された。
25日の暴力行為は、同日朝、PCC幹部のマルシオ・ジェラウド・アウヴェス・フェレイラ(通称ブッダ、32)が逮捕された事とも関係している可能性がある。
ブッダはサンパウロ州でも最も有名な指名手配犯10人の1人で、2010年から逃亡扱いにされていた。今年の2月に発覚した、連邦刑務所に収監されているナルコス・ウイリアンス・コマショ(通称マルコラ)の脱出計画を企てたメンバーの一人とも目されていた。
なお、25日夜、サンパウロ市東部のバスターミナル、シダーデ・チラデンテスで起きたバス焼き討ちとの関連は不明。サンパウロ市で今年焼き討ちに遭ったバスは125台、破壊行為の被害も824台に上る。